鳥飼久裕
奄美に暮らす人々にとって、サシバは身近な存在です。冬の間、農耕地の近くに止まっていたり、鳴きながら空を旋回する姿をよく目にするからです。こんなにたくさんいる鳥が、環境省のレッドリストでは、奄美の固有種のオオトラツグミやアマミヤマシギと同じ絶滅危惧Ⅱ類というのがちょっと信じられない気さえします。

では、いったいどのくらいの数のサシバが越冬しているのでしょう。そんな素朴な疑問に答えるため、アジア猛禽類ネットワークという研究者グループと、日本鳥類保護連盟、日本野鳥の会、日本自然保護協会などの日本を代表する自然保護団体、それに地元の奄美の自然を考える会、奄美野鳥の会の有志が一致団結して、手弁当で調査を行いました。その結果、奄美大島と加計呂麻島を合わせて2000羽以上のサシバが越冬していることが明らかになりました。

なんと、奄美大島は国内最大の越冬地だったのです。サシバにとって、それだけ過ごしやすい場所だとわかり、なんだか誇らしい気持ちになりました。奄美を選んでくれたサシバたちに感謝です。