奄美のサシバについて 第4回 色変わりのサシバ

鳥飼久裕

 ご存じの方も多いと思いますが、サシバには稀に暗色型といって、体全体が焦げ茶色になるタイプの個体がいます。暗色なので体が引き締まって見え、通常のサシバに比べて精悍な感じがします。暗色型サシバは一説に1000羽に1羽の割合で出現すると言われていますが、奄美大島(加計呂麻島を含む)には毎冬複数羽が飛来して越冬しています。おそらく10羽程度は渡ってきているのではないでしょうか。奄美大島(加計呂麻島を含む)での越冬個体数は2000羽強と推定されるので、おおまかに100羽に1羽程度の出現率ではないかと思われます。

暗色型サシバも飛ぶと風切羽と尾羽の下面は白い。

 2021年-2022年の冬には奄美市笠利町に1羽の白いサシバが現れて私たちの目を楽しませてくれました。遺伝子疾患でメラニン色素が欠乏して全身が白くなるアルビノであれば瞳は毛細血管が透けて赤くなるはずですが、この個体の瞳は黒でした。遺伝子情報は正常ながらなんらかの理由でメラニン色素が少ないバフ変と呼ばれる個体と考えられました。いずれにしろ白い鷹はとても気高く、神々しく見えました。

気品が感じられるバフ変のサシバ。
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