2月1日 奄美市宇宿、大瀬、須野、万屋
天気がよかったので、市理原でのルリカケス調査を終えて、笠利方面へ行ってみる。最初に宇宿漁港へ。敷地の1/3くらいの面積が工事中で、なにやら大きなコンクリート製の物体が置いてある。漁礁だろうか? 目障りで仕方ない。空港に近い側の更地にムナグロとムネアカタヒバリの群れ。珍しい鳥は交じっていないようだ。イソヒヨドリを撮影し、そそくさと大瀬海岸へ移動。ソリハシセイタカシギはもういないが、アカツクシガモはまだいる。そしてツクシガモが2羽になっている。小潮のせいで遠く、双眼鏡だけではあまりよくわからなかった。
続いて後背地へ。シマアカモズやジョウビタキなどを観ながら、収穫の始まったサトウキビ畑の間をゆっくり車で流していると、電柱から1羽の猛禽が飛び立った。おなじみのサシバであるが……なんかおかしい。慌てて双眼鏡でのぞいてみると、なんと暗色型ではないか。2005年くらいから毎冬この付近に来ている個体らしいが、私はここでは初めて観た。焦げ茶色のボディーに金色のアイリスが映え、実に精悍である。暗色サシバを堪能して空港のほうに向かう途中、休耕田の上をビュンビュン鳴きながら飛び回る4羽の鳥を発見。ヒバリである。本土にいるとごく普通の鳥だが、奄美では貴重。車を停めてそれを観ていたら、なにやらホオジロ科の鳥が視界を横切った。アオジではないと判断して、鳥影の入ったススキの草むらに双眼鏡を向ける。おやおや、シベリアジュリンではないですか。空腹なのか懸命にススキの種を食べている。しかしこのシベリアジュリン、なにかバランスがおかしいなと思ったら、尾羽が全部抜けておりました。相当つらい旅だったのだろうか。しっかり栄養をつけて、無事に渡っていっておくれ。
2月24日 瀬戸内町篠川
日本冬虫夏草の会の方々が遠路福島からお見えになっていたので、調査に同行する。調査といっても、林床すれすれまで顔を近づけて、ひたすら冬虫夏草を捜すという、きわめて地味な苦行のようなもの。それだけに見つかったときはうれしい。 過去2回はひとつも見つけられなかったが、今回はアマミタンポタケとクビジロアマミタポタケを発見。冬虫夏草の会の方々はこの他にも、コロモタンポタケ、ハナヤスリタケ、新種かもしれない小さなタンポタケなどを次々と発見されている。これの宿主はすべてツチダンゴという菌類。つまりこの冬虫夏草たちは、昆虫ではなく菌に寄生するのだ。それって冬虫夏草なのかよ、とつっこみたくもなる。菌に寄生する菌、分解者を分解する分解者……なんとも奇妙な話である。