2024年 2月のフィールドノートから

2月1日~3日 喜界島

 日本産鳥類目録によると、喜界島にはアマミヤマシギの記録がある。しかし、自分自身はまだ確認したことがないので、調査にやってきた。調査は夜なので、昼間は自然観察を楽しむ。喜界島といえば、なんといってもオオゴマダラ。2月になったばかりでも、大きな翅をゆったりと羽ばたかせてゆったりと舞う姿は、まさに南の島の貴婦人の趣き。喜界島には河川らしい河川がないが、その代わりに溜池が点在している。川嶺の溜池をのぞいてみると、ホシハジロやキンクロハジロとともにメジロガモが1羽交っていた。今季は奄美大島や沖縄島でも確認されており、ここ数年渡来数が増えている気がする。実は喜界島の溜池は地下ダムの完成に伴い、防災上の理由から大半が取り壊される予定だと聞く。農林水産省の進める政策らしいが、喜界島のような河川のない島では、溜池は貴重な淡水生態系を提供している。水鳥の休息地としても重要だし、水生昆虫の棲み処としてなくてはならない場所(かってはフチトリゲンゴロウもいたのだ!)だ。生物多様性保護の観点からの議論も必要だろう。

 さて、肝心かなめのアマミヤマシギは車2台で3夜かけ、道という道をつぶさに探し回ったが、1羽も確認できなかった。その代わり農耕地中心に100羽近いヤマシギは確認できた。喜界島はアマミヤマシギにとって重要な越冬地ではなく、いてもごく少数か、秋の分散期に一時的に渡来しているだけだろうと思われる。それにしても、イタチの多いこと。今回、サトウキビ畑では初めてシカの姿も目撃した。キジも多いし、外来種対策を考えないと、やばいのでは?

▲路傍で吸蜜するオオゴマダラ
▲川嶺の溜池のメジロガモ
▲農耕地にたくさんいるヤマシギ
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