2012年 3月のフィールドノートから

3月1日 龍郷町屋入

 本日からアマミヤマシギの巣のビデオ撮影を開始。さて、何日でヒナが孵化するか。とても楽しみである。それにしても、抱卵中のアマミヤマシギの目立たないこと。
これで天敵の目も欺いているのだろう。

▲卵を抱くアマミヤマシギ。抱卵はいつもこの個体。メス親だと思われる。

3月3日 奄美市某所

 とある原生的な森林に幻のランを観に行った。その名はケイタオフウラン。ケイタオというのは台湾の地名らしく、台湾産の野生ランが国内では唯一奄美大島に飛び地分布しているのだ。ナゴランやカシノキラン、キバナノセッコクなどの他の着生ランと違って、幹のあまり太くない木に着生するのが不思議だ。花季には少し早かったようでつぼみが多いが、それでも何株かは可憐な花を咲かせている。盗採の対象になりやすい貴重なランだが、いつまでも野生下で観察できるようにあってほしい。野にあってこその美しさだと思う。

▲ケイタオフウランの花。風にゆらゆら揺れるので撮影が難しい。

3月16日 龍郷町屋入

 ビデオ撮影を開始して16日目、発見されて18日目についにアマミヤマシギのヒナが孵化した。夕方ビデオの回収に行った際に親鳥がいないのに気づき、巣に近づいてみると、割れた卵2個と放置された卵1個を確認。もしかして親鳥はまた戻ってくるのかもしれないと思い、そのままにして帰ってきた。結果的に1個は孵らなかったのか、放棄したようだ。自宅に帰ってビデオを確認すると、2羽のヒナが孵ってすぐに親鳥のあとを追いかけていくようすがしっかり映っていた。早成性のヒナはなかなかに大変だ。無事に生き残れるといいのだが。

▲見守る親鳥のもとへよちよち歩いていく孵りたての2羽のヒナ。卵1個は放棄されたのであった。
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