2007年 12月のフィールドノートから

12月15日 龍郷町秋名

 気がつくと前回の更新からひと月以上経ってしまっている。こんなことじゃいけないなと反省し、久々にフィールドに出てみた。場所は秋名。最近、ヒシクイやタマシギが出たらしいが、残念ながら見当たらない。不精していると見逃しも多いのは当たりまえ。

 昨シーズンはタヒバリ類で賑わったが、それらの姿はない。アオジやシロハラ、ツグミなども決して多くはない。今季の冬鳥は出だしこそ快調だったが、結果的にはそれほど多くないようだ。もっとも、まだいまから飛来するのんびり屋がいるのかしれないが。シギチ類は、クサシギ、イソシギ、タシギ、セイタカシギがぱらぱらで、それにイカルチドリが1羽混じっている。じっくりイカルチドリを観察できたのが本日の収穫。雨覆の羽縁が薄く、どうやら第1回冬羽の個体のようだ。

▲イカルチドリの1stWINTER。Long-billed Pluverというだけあって、コチドリに比べて立派な嘴を持っている。

12月25日 奄美市役勝

 オオトラツグミのコールバック調査を行なう。500mごとにオオトラツグミのさえずりをスピーカーから流し、反応を見るだけの単調な調査だが、林道上でのんびりと時間を過ごせるのがよい。おだやかなクリスマスとなったこの日は、暑からず寒からず。森の中でゆったり過ごすのに最高の日和である。

 川沿いの松林に大型のキノコがにょきにょき生えている。食用可能なハツタケである。このキノコ、食感はしゃりしゃりしているが、出汁が出るので、炒め物や汁物などの料理に最適。フル(葉ニンニク)と一緒に炒めると、えも言えぬ旨みが出る。奄美はキノコの季節が本土と違っているのか、梅雨時期から秋のキノコと呼ばれるハツタケは、冬に松林に現われる。天然のシイタケもいまが旬。秋の味覚というよりも冬の味覚である。

▲珍しく美しいハツタケ。傷んだ場所が緑青色に変色している場合が多い。