2005年 5月のフィールドノートから

5月8日(日) 名瀬市朝戸峠

 春の渡りも終盤。朝戸峠でバンディングを行うと、サンコウチョウやアカショウビンがかかる。この2種の夏鳥はもう全島に渡ってきていて、どこでも簡単に鳴き声を聞くことができる。しかしながら姿は観づらいので、バンディングなどの際にしっかりと観察しておくに限る。珍しくサンショウクイがかかる。そこそこの数は生息しているのだが、いつも高所を飛んでいるので、めったに捕まらない鳥だ。間近で観ると、外側の尾羽や雨覆の縁が白いのがわかる。これもバンディングならではの発見だ。

 さらにツミがかかった。オスの成鳥のようだ。与論島以南では留鳥の亜種リュウキュウツミが分布していることになっているが、奄美大島ではどうなのだろう。繁殖記録がはっきりしないので、鳥類目録には亜種ツミが越冬しているという記載になっている。本当かなあ。どこかで繁殖しているのではないだろうか。アカヒゲもウグイスも現在混乱している通り、南西諸島の亜種をめぐる見解には眉につばをつけて臨んだほうがよい。

▲バンディングでかかったツミのオス(変な角度ですみません)。

5月14日(土) 笠利町屋仁

 古見方でレンカクのほぼ夏羽の個体が出たと聞き、何度か通ったものの完全に振られる。渡りの初めと終わりには珍鳥迷鳥が出やすいので、他にも何か出ていないかと全島を回って探す。ヤマショウビンはいないかな~カラシラサギはいないかな~、と鵜の目鷹の目で見回っていると、屋仁の農耕地でオウチュウを発見。オウチュウはほぼ毎年春の渡りの時期に確認されているが、今年自分で見たのは初めて。長い尾をひらひらさせてとまり木から飛び立ち、農耕地のバッタ(タイワンツチイナゴか?)をつかまえる場面を目撃できてラッキー。

▲雨の中で餌を探すオウチュウ。

番外編:5月20日(金)~25日(水) ボルネオ

 奄美野鳥の会の有志7名で、マレーシアのサバ州へ探鳥行。コタ・キナバルとダヌム・ヴァレーで約60種の野鳥、約20種の哺乳類などに出会いました。その中からダヌム・ヴァレーで遭遇したいくつかを写真でご紹介します。

オナガサイチョウ(写真提供:高さん)。いきなりの登場で一行を喜ばせてくれました。とにかくでかい!
セイラン。でかいといえばこのセイランのオスの体長は約170㎝。ジャングルに響き渡る大きな声で鳴きます。
ノドアカコバシタイヨウチョウ(写真提供:高さん)。花には色鮮やかなタイヨウチョウやハナドリ、コノハドリの姿も。
アオハウチワドリ。ナイトウォッチングで見つけました。起こされてご立腹のご様子。ヨタカspやオオフクロウもいました。
▲ダヌム・ヴァレーといえば野生のオランウータン。地上高30mのキャノピーウォークから見下ろしているところ。
テナガザルは高みからこちらを見下ろしています。霊長目は他にスローロリス、クリイロリーフモンキー、カニクイザルを観察。
▲ダヌム・ヴァレー名物(?)のタイガーリーチというヒル。こいつには終始悩まされました。
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