1月18日(土) 名瀬市金作原
森林管理署から委託を受けた国有林の巡視で、川口和範さんと一緒に原生林を歩く。正月過ぎに風邪を引いてしまい、森に入るのは本当に久しぶりだ。奄美の山はいまが紅葉の季節。といっても葉が色づく樹木は数えるほどしかないのだが、その中ではハゼの木の紅色が実によく目立つ。すでに山上ではヒカンザクラが花をつけており、本土では秋の風物詩の紅葉と春を代表する桜が、冬に同時に味わえる奄美は、やはり日本離れした土地だなと改めて感じる。
冬の森はそれでも下草が少なくて歩きやすい。急坂を登っても汗まみれになることはないし、思いっきり新鮮な空気を吸いこむうちに肺が浄化されるような気がする。足元をよく見ると、ミヤビカンアオイの地味な花が半分土に埋もれるようにで咲いている。この奄美固有の植物もガンに効くとかの噂が流れ、薬にするために乱獲されていると聞く。人間とはつくづく強欲な動物だ。
渓流沿いでひと休みしておにぎりを頬張る。マイナスイオンだかなんだか知らないが、癒される気分。風邪のウィルスも撃退できるのではと、無根拠に期待したくなる。植物を採る必要などない。自然に触れれば、それだけで人間の自然治癒力はアップすると思うのだが。
1月31日(金)龍郷町瀬留
笠利町の水間輝蔵さんから、ヒヨドリが赤土みたいなものを食べているという連絡を受け、興味があったのでさっそく行ってみた。教えていただいたポイントに着くと、いるわいるわ、予想していた以上の数のヒヨドリが地面に降りて、なにやらつついている。その数、約50羽ほど。ほとんどが色白な本土産の亜種のようである。それにしても一種異様な雰囲気である。ヒヨドリの群れが地面に降りて、こんなにも一心不乱に餌を食べているなんて。なにを食べているのかと双眼鏡でのぞいてみると、地面に敷きつめられた赤い破片のようだ。遠目には赤土に見えたものは、車から降りて確認したところ、肥料としてまかれたソテツの実の皮の部分だと判明。なるほどこれならヒヨドリは大好物に違いない。思わぬご馳走にヒヨドリばかりではなく、シロハラやメジロも集まってきた。