2011年 8月のフィールドノートから

8月20日-21日 瀬戸内町ハンミャ島

 与路島の隣に位置する無人島ハンミャ島は奄美群島では唯一のオオミズナギドリ、アナドリの繁殖地となっている。奄美野鳥の会では毎年夏に両種の繁殖調査を行っているが、今年は会のイベントとしてサマーキャンプを兼ねて調査を実施した。8月は台風シーズンに当たるため、ハンミャ島に渡るのは結構苦労するのだが、今年は好天に恵まれて一度ですんなり渡ることができた。ただ、好天は恩恵だけをもたらしてくれるわけではない。日射しを遮る物のないハンミャ島では、昼の直射日光は殺人的なのだ。参加者はタープの下に逃げ込んだり、海で泳いだりしてなんとか昼をやり過ごす。日が傾き始めた頃から夕食の準備を始める。定番のバーベキューができあがる頃には日もすっかりかげり、空には満天の星が瞬き出す。と、上空から甲高いネコのような鳴き声が聞こえてきた。オオミズナギドリが帰ってきたのだ。星をバックにときおりオオミズナギドリのシルエットが横切るのが見える。

 夕食後調査開始。まずは島の南部のアナドリの繁殖地に行ってみる。昼間に下見した限り、かなりの糞が確認されたのでそこそこ渡来しているはずだという読みは当たり、そこかしこでウォンウォンと、こちらはイヌを思わせる鳴き声が聞こえる。去年は姿を確認できなかったということだが、今年は数も多く、10羽を捕獲し標識することができた。続いてアダンとオオハマボウが茂るオオミズナギドリの繁殖地へ移動する。ところが先ほど声がしていたにも関わらず、いくら探してもオオミズナギドリの姿は発見できない。去年はオオミズナギドリはたくさんいたというのに、どうしたことだろう。アナドリもオオミズナギドリも去年とは逆の傾向を示している。どちらか一方の種が多い年にはもう一方の種が少ないなどという関係があるのだろうか。繁殖地の環境が少し違うのであまり関係なさそうに思うのだが、不思議である。なお、オオミズナギドリの繁殖では眠っているアカヒゲの姿を確認できた。

 翌日も朝から晴天。鳥の調査はすでに終えているので迎えの船が来るまではフリータイム。浜辺を歩いていると、1頭のハマコオロギが近づいてきた。2005年の10月に観たのはオスだったが、今回の個体は産卵管を持っているのでメスのようだった。

▲岩場の穴を利用して繁殖するアナドリ。地上ではよちよち歩きしかできない。
▲ハマコオロギのメス。鹿児島県では絶滅危惧種Ⅱ類に指定。

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