2011年 9月のフィールドノートから

9月6日 奄美市名瀬朝仁

 うちの玄関先に一頭の中型カミキリが訪問してくれていた。本州以南に産するキボシカミキリの亜種アマミキボシカミキリである。触角の長さから考えるとメスのようだ。アマミキボシカミキリの食樹はクワやイチジクの仲間であるが、我が家の庭にはそれらの木がないので、玄関の明りに引かれてたまたま飛来しただけだろう。ひと晩保護した後、翌日庭に積んだ枯れ枝に止まらせると、脚でしっかり枝を握って歩行し、しばし停止した後、重そうな体を持ち上げて飛んでいった。飛ぶ瞬間の写真の撮影に成功。

▲下翅の先端を伸ばしきる瞬間。この0.05秒後、アマミキボシカミキリは宙に浮いた。
▲別の角度から。次の瞬間、後脚を伸ばすようにして踏み切る。

9月10日 奄美市宇宿漁港

 秋の渡りがぼちぼち始まったようだ。渡り鳥は基本的に海上を最短の距離で渡ろうとする。したがって本土では渡りの時期に岬にいくと鳥が集まっているものなのだが、奄美の場合、この傾向がいまだはっきりしない。北から渡ってくる鳥たちはいったん、北に張り出した岬に集まるのではないかと期待して、笠利崎、蒲生崎、今井崎を回ってみたのだが、特に鳥が群れているようでもなかった。奄美大島内での渡り鳥のメインルート、いまだ不明のままである。

 途中で宇宿漁港に寄ると、チドリが数種類入っていた。ムナグロとシロチドリの群れに交じって、メダイチドリとオオメダイチドリが各1羽ずつ。隣に並ぶと、メダイチドリとオオメダイチドリの大きさの差が歴然とわかるね。オオメダイはムナグロをひと回り小さくした程度(つまり大きい!)ってことに改めて気づいた。

▲埋立地の草地で餌を探すオオメダイチドリ。