2019年 3月のフィールドノートから

3月18日 某林道

 第26回オオトラツグミさえずり一斉調査も無事に終わり、ほっとひと安心。夜のアマミヤマシギ調査も入っていなかったので、久々に夜の林道ウォッチング。アマミイシカワガエルはいまが繁殖の最盛期、沢のあちらこちらから鳴き声が聞こえる。声を頼りにライトを当ててみると、いたいた。鳴嚢を膨らませて、独特の声で鳴いている。しばし耳を傾けていると、雨が降ってきた。と、林道前方にアマミノクロウサギの幼獣を発見。逃げるタイミングを失ったのか、車で真横まで近づいてもじっとしている。これだけ動かなかったら、ネコの餌食になるのは当然かも……マングースがほとんどいなくなってきた奄美大島では、いまノネコの問題が深刻化している。

▲水の流れる沢の中で鳴いているアマミイシカワガエルのオス。
▲雨に中でじっとしていたアマミノクロウサギの幼獣。

3月21日 大和村フォレストポリス]

 オオトラツグミの補足調査を湯湾岳でおこなったあと、フォレストポリスに立ち寄った。グラウンドではハクセキレイがなにやら昆虫の幼虫を食べている。季節は春。いろんな虫たちが活動するようになった。昆虫を餌とする鳥たちも、活動が盛んだ。車に戻ると、フロントガラスに小さなカミキリムシがへばりついていた。黒字に白の斑紋。この色彩パターンのトラカミキリは何種類かいて、識別が難しいが、触角の付着点が触角第1節の長さよりも広いので、ホソトラカミキリ属(Rhaphuma)のリュウキュウヒメクロトラカミキリではなく、後肢跗節第1節が続く2節の輪の2倍より長いので、ケズネチビトラカミキリ属(Amamiclytus)のケズネチビトラカミキリでもないとわかる。どうやらトラカミキリ属(Xylotrechus)のアマミズマルトラカミキリのようだ。

▲昆虫の幼虫を捕まえたハクセキレイ。
▲フロントガラスに止まったアマミズマルトラカミキリ。
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