2022年 9月のフィールドノートから

9月10日 大和村フォレストポリス

 今年最後のハネナガチョウトンボ調査。秋風を感じるようになって、トンボの数もずいぶんと減ってきた。水面に浮かぶ小さなアメンボはヒメセスジアメンボ。夏の間は見かけなかった気がするが、少し暑さが落ち着いてきたので現れたのだろうか。それでも日中の日差しをもろに受けると暑い。水溜まりではモンキアゲハとナガサキアゲハが吸水中。大きな黒い翅は夏の暑さには無向きだろうと思う。視界をかすめるように小型のタカが飛んだ。この時期なのでアカハラダカかと思うと、ツミの幼鳥だった。オープンスペースである水辺の広場で、昆虫などを狩っているようだ。森の中で小鳥を捕まえられるようになるのはもう少し先か?

▲ヒメセスジアメンボの無翅型
▲吸水しながら、腹端から水を出すモンキアゲハ。体内で水を循環させて、冷却中。
▲狩りに失敗して近くの枝に止まったツミの幼鳥

9月13日 奄美市笠利町宇宿漁港

 台風11号は直接的な被害こそなかったものの、小笠原のほうから西進して、その後いったん南下したのちに北上するという進路を取ったため、周辺海上は長く並みの高い状態が続き、フェリーは1週間ほども止まってしまった。台風がなにか珍しい鳥でも運んできてくれていないだろうかと宇宿漁港を訪れたところ、いつもの常連、ムナグロが出迎えてくれた。ほとんどの個体は冬羽に換羽していたが、1個体だけ、かなり胸と腹に黒色が残った個体もいた。1羽背が低い鳥がまじっていることに気づいて双眼鏡で覗いてみると、ソリハシシギだった。大瀬海岸ではよく見かける鳥だが、干潟以外で観るのは初めての気がする。そして、1羽ムナグロと付かず離れずの距離でさかんに餌を探しているのは、エリマキシギだ。すっかり冬羽に換わっているが、夏羽時代の求愛ダンスの名残なのか、背中の羽毛を逆立てている。

▲宇宿漁港の常連であるムナグロ
▲こういう乾燥した場所でソリハシシギを見るのは珍しい気がする
▲背中の羽毛を逆立てながら餌を探すエリマキシギ