2021年 6月のフィールドノートから

6月2日 奄美市名瀬里

 リュウキュウキビタキの調査の帰り、中央林道に咲くイジュの花を見て回る。甘い香りを放つイジュの花は、多くの昆虫を引きつける。さまざまなチョウ類、ハナムグリヤカミキリムシなどの甲虫類、ハチにアブ……。目当てのアマミトラハナムグリには遭えなかったが、なかなか面白い観察ができた。

▲ツマベニチョウのメス
▲アオバセセリとオオハナアブ
▲キオビエダシャクも訪花
▲アマミヘリグロツヤムシも蜜を吸うのか?

6月17日 十島村中之島平瀬

 海鳥モニ1000で4年ぶりに中之島平瀬を訪れた。滞在している口之島から「海春丸」にて、うねりの残る海を1時間15分ほどかけて、平瀬に到着。船が近づくなり、300羽を超えるカツオドリの成鳥がいっせいに飛び立ち、我々を歓迎してくれた。岩礁の上には、白い綿毛に包まれた幼鳥の姿もたくさん見える。上陸して、カウントをおこなう。4年前と比較しても数は減っていない。素晴らしいことだ。成鳥のなかに1羽、シロガシラカツオドリの姿がまじっている。カツオドリの東太平洋の亜種だ。4年前にもチラッと確認したのだが、今回ははっきりと写真を撮ることもできた。果たしてここで繁殖しているのだろうか?。

▲青空を舞うカツオドリの群れ
▲大半の幼鳥は白い綿毛に包まれており、風切羽の伸びてきている個体も多い。
▲このヒナは孵化したばかりで赤裸。メス親が座ってずっと体を温めている。
▲亜種シロガシラカツオドリ

6月18日 十島村口之島

 口之島に滞在したのはこれが3回目だが、夜中に出歩いたのはこれが初めて。集落の中心部にある灯火を訪れると、いろいろな昆虫類などが集まっていた。嬉しかったのは、トカラノコギリクワガタの口之島産のオス。赤光りするかっこいいクワガタだ。自販機の近くにはなにやら茶色の虫が集まっていた。同行者の後藤さんが図鑑で調べてくれたところ、中之島と口之島の固有種のトカラチャイロクチキムシと判明。また、街灯の下の草にはたくさんのカクマグソが確認できる。これも後藤さんによると、キュウシュウカクマグソコガの可能性が高いとのこと。この種も中之島と口之島に多く分布しているらしい。後藤さんが一匹の陸貝を発見。トカラ列島固有のクロマイマイだろうか? 陸棲貝類についてはまったく不見識で断がつかない。→後日、専門家からクロマイマイは口之島に分布しておらず、タメトモマイマイであるとご教授いただきました。ありがとうぎざいます。

▲トカラノコギリクワガタの口之島産オス
▲トカラチャイトクチキムシの群れ
▲キュウシュウカクマグソコガネだろうか?
▲クロマイマイかと思ったタメトモマイマイ
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