2024年 12月のフィールドノートから

*徳之島明眼の森

 2年ぶりの徳之島探鳥会は強風吹きすさぶ中、浅間海岸で無事に終了。最初は鳥の姿が見えずに心配したが、最後にはこの地の名物クトツラヘラサギも現れ、最終的にはそこそこ種類も稼げた。ミサゴが大きな魚を無心についばむ姿を堪能したり、ダイゼンとムナグロの違いをじっくり観察したりできたのでよしとしよう。
 午後は伊仙町犬田布の明眼の森を訪問。琉球石灰岩の台地の上に生い茂るこの森は昔、按司の居城であったり風葬の地であったりしたようで、神聖な場所として鬱蒼としたまま伐採されずにいまも残されており、貴重な植物も多い。鳥居をくぐって石段を上がると小さな神社が現れる。社殿に張りついた美しい模様のカタツムリはトクノシマヤマタカマイマイ。この森で見られる植物のリストが記された看板をざっと眺めて森に入る。コンクリート敷きの遊歩道はあまり歩く人もいないのか、苔むしてすべりやすく、アマミアラカシのどんぐりがたくさん落ちているので、しれを踏もうものなら転倒しそうでおそろしい。歩道脇のリュウキュウマメガキやヤブニッケイに目をやりながら慎重に奥に進む。急な階段を下りるとこの森の深奥部で、これまでよりも空気が濃密に感じられる。林床にはマツザカシダやコモチナナバケシダ、アコウネッタイランなどが根付き、石灰岩の岩肌をトウツルモドキが覆いつくしている。奄美大島にはない光景に目を奪われていると、足元からコバネコロギスがピョンと跳び出した。

徳之島の固有種のトクノシマヤマタカマイマイ
イノモトソウの仲間で観賞用にもなるマツザカシダ
コモチナナバケシダの無性芽から小さなシダが伸びていた
トウツルモドキも奄美大島では観ることのできないつる植物。葉先の巻きひげで他の植物にからみつく
本来は夜行性のコバネコロギス
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