2014年オオトラツグミ一斉調査 結果報告

21回目のオオトラツグミ一斉調査の結果を掲載しました。調査方法を一部見直しましたが、奄美中央林道では昨年に続いて多くのさえずり個体を確認できました。

第21回オオトラツグミ一斉調査終了お礼
~調査地域を主要林道に限定し、精度向上を目指す~

 昨年はオオトラツグミ調査20回目に当たる節目の年で、一斉調査と補足調査(ICレコーダーによる調査を含む)を合わせたさえずり個体の総数は、これまでに最も多い522羽を記録しました。1994年以来20年間の継続調査により、オオトラツグミの生息数は年による増減を繰り返しながらも、ここ数年でみると次第に増加傾向にあることがわかってきました。これも長年にわたって、多くのみなさま方のご協力ご理解があって明らかになってきたことであり、一斉調査実行委員会一同、心より感謝申し上げます。

 オオトラツグミは地球上で奄美大島にのみ生息する貴重な野鳥ではありますが、当分生息個体数は安定することが予測されます。また、これまで野鳥の会会員をはじめ多くのみなさま方のご協力による負担が大きすぎたことなどを勘案し、一部調査方法の見直しをおこないました。昨年まではできるだけ多くの林道で調査を実施してきましたが、第21回目からは調査精度をあげるために、重要な林道にしぼることにしました。これまで最も力を入れてきた奄美中央林道を継続することはもちろんですが、その他の補足調査をしてきた林道は、今後も継続する必要があると思われる林道を選び、その林道に限って調査を実施しました。

 今回の一斉調査は、2010年の奄美豪雨災害以来、昨年まで車が通行できなくなっていた奄美中央林道の崖崩れ箇所が復旧して車の通行が可能となり、通常どおりの調査を実施することができました。昨年までの奄美中央林道の調査では、全域を5つの班に分けて実施してきましたが、その中で他の班に比べて調査範囲が広く取り組みが大変だった金作原班を、里班と金作原のふたつに分け、取り組みの負担を軽減しました。

 第21回オオトラツグミ調査では、3月23日(日)に奄美中央林道全域やスタルマタ林道、油井岳林道などで実施しました。調査には122名の方々が参加し、3月21日(祝)、22日(土)の補足調査には、合計で103名の方々がボランティア調査員としてご参加をいただきました。これら3日間の調査の合計では、延べ225名のボランティア調査員の方々に参加していただき、107羽(うち奄美中央林道は、85羽)のさえずり個体数を確認することができました。

 全ての補足追加調査を含めた3月16日から4月3日までの調査全体(ICレコーダーによる確認を含む)では、さえずり個体数が300羽となりました。今回は調査林道をしぼったため、これまで続けてきた全林道の調査とは全体の結果が単純比較できなくなりましたが、奄美中央林道では、昨年の96羽より11羽少ない85羽が記録され、これまでで2番目に多い記録となりました。

 今年も引き続き、環境省那覇自然環境事務所や鹿児島森林管理署・鹿児島県大島支庁林務水産課・奄美市 ・大和村・宇検村・瀬戸内町のご後援をいただくことができました。また調査員説明会の会場として奄美博物館と瀬戸内町立図書館・郷土館を使用させていただきました。

 ボランティア調査員として調査に参加されたみなさん、ご支援をいただきました行政や諸団体、個人の方々、調査資金にご寄付いただいたみなさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。
 ご支援、ご協力ありがとうございました。

特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会

●2014年(第21回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地   215箇所
確認羽数  300羽
調査員   306人(延べ人数)

●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移
奄美中央林道その他合 計
199024羽1羽25羽
199440羽14羽54羽
199518羽14羽32羽
199618羽11羽29羽
199727羽14羽41羽
199821羽17羽38羽
1999 調査方法変更28羽72羽
44羽
200025羽36羽61羽
200140羽34羽74羽
200240羽37羽77羽
200343羽61羽104羽
200442羽84羽126羽
200568羽103羽171羽
200647羽118羽165羽
200778羽171羽249羽
200847羽180羽227羽
200951羽225羽276羽
201032羽262羽294羽
201145羽288羽333羽
201259羽 296羽355羽
201396羽  426羽522羽
201485羽 調査方法変更 
215羽300羽
「奄美中央林道」は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスによる調査。1998年までは数日かけて調査をおこなったが、1999年以降は同日に一度で調査を行っている。
「その他」は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。2014年以降、奄美中央林道と一部の林道のみにしぼって調査。
*表は、Strix vol.15.1997「.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会」に1997年以降の結果を加えて作成。

 今年から奄美中央林道と一部の林道のみに調査地をしぼりこんだ。奄美中央林道の調査では、これまでに最も多かった2013年の96羽より11羽少ない85羽を記録した。これは、昨年に次いで2番目に多い個体数である。今年から奄美中央林道以外の調査地域をしぼり、調査地点数は昨年の292地点より107地点少ない185地点に減った。ただしICレコーダーによる調査地点を含めると、215地点となる。
 調査方法変更のため、全体としての結果の比較はできないものの、奄美中央林道の結果が昨年に次ぐ多さだったことを勘案すると、全体としても比較的個体数が多かったと推定される。

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