2012年 1月のフィールドノートから

1月7日 龍郷町加世間

 なかなか気温が上がらない。大瀬海岸にツクシガモを観に行く途中で、リュウキュウアサギマダラが集団越冬するとある沢に寄ってみた。この寒さならば、群れているだろうという読みは当たり、全部で100頭ほどが小枝の先や垂れ下った蔓にしがみついてじっとしている。このチョウが一斉にふわふわと舞い飛ぶところは、幻想的でとても美しいものだが、今日は陽も射し込まずじっとして動かない。簡単に手で捕れるほどだが、それでも動じないのは、このチョウが体内に毒を溜めこんでいるから。美しいチョウには毒があるのだ。

▲レンズを接写の距離に近づけても逃げない越冬中のリュウキュウアサギマダラ

*番外編*1月15日 沖縄県浦添市

 調査の手伝いで沖縄に来たついでにバードウォッチング。金武のヨーロッパムナグロはもう抜けたというので、浦添城址近くの森で越冬しているというハイイロオウチュウを観に来た。場所は住宅地のすぐ裏側の、広葉樹が密生した斜面。ヒヨドリやサンショウクイの声が聞こえ、メジロやサシバが飛びまわっている、都会のオアシスのような小さな森だ。待てば出てくると聞いたので、住宅の住民の皆さまの怪訝そうな目に恐縮しながら待つこと約30分。ようやく1羽の尾の長いグレーの鳥が虫を追ってはらりと舞った。間違いなくハイイロオウチュウだが、一瞬すぎて網膜に焼き付ける暇もない。さらに待つが、なかなか飛んでくれない。仕方ないので、ポイントを変える。地主の方にお願いして、私有地の中に入れてもらい、そこから観察することに。ちょうど以前の観察ポイントの死角になっていた場所で、ここからなら観える可能性は高い……と思っていると、案の定、すぐに姿を現したではないか。すぐそのあとから別の個体も現れた。ライファーを2羽同時に観ることができ、感激もひとしお。しかし、最初に発見した人は、よくこんな住宅地で見つけたな、と感心するばかりだった。

▲目の周りの白い隈取りが特徴のハイイロオウチュウ。

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