2011年 12月のフィールドノートから

12月6日 龍郷町秋名

 なにかと忙しく、野鳥の出現情報をもらっても観に行けない。これではいかんなあ。11月27日にヒシクイが出てるという情報をもらったのだが、それから十日が経ってしまっている。ダメ元で探してみようと思い立ったので、東京帰りの奄美空港からの帰路、秋名に立ち寄ってみた。

 今年は冬鳥の渡来が少ない。12月だというのに、アオジの声をほとんど聞かないし、シロハラもまだあまりいない。ウグイスはいるが、やはりまだ数は多くない。冬鳥がいないせいで、秋名もなんとなく寂しい感じである。バンやカルガモばかりが目立つ。この両種は秋名で毎年繁殖しており、確実に数を増やしている。環境がこの両種にとっては生息に適しているのだろう。シロハラクイナも増えているが、ヒクイナはおそらく減っている。リュウキュウヨシゴイも減少している。近年秋名では、長く放置されていた農耕地を開墾しなおし、再生する動きが目立っている。そのため草地や葦原が減り、水田が増えている。きっとこののことが影響しているのだろう。水田が増えて里山的環境が増大していくのはありがたいと思う反面、あおりを食う生き物もいるということを肝に銘じておく必要がある。

 刈り取った稲田の跡に一羽の鳥がのそっと立っていた。遠目からもすぐにヒシクイだとわかる。奄美に来るヒシクイは亜種オオヒシクイが多いが、この個体は亜種ヒシクイだった。亜種ヒシクイでもこうしてみると十分に大きいね。

▲稲田でマタベ(二番穂)を食べているヒシクイ