2005年 9月のフィールドノートから

9月3日(土) 龍郷町秋名

 センダングサの花にベニモンアゲハが来て吸蜜しているなと思うと、ベニモン型のシロオビアゲハのメスであった。無毒のシロオビアゲハのメスはしばしば有毒のベニモンアゲハに擬態すると知ってはいたが、いままであまり気にしていなかった。ベニモンアゲハの奄美定着は2002年以降のことなので、まだそんな新参者に擬態するメスは少ないだろと思っていたのだ。しかし、昆虫の世界は恐るべし。たった3年でベニモンアゲハは奄美大島のいたるところに進出したし、シロオビアゲハのメスはちゃんとそいつに擬態しているのだ。今後シロオビアゲハメスのシロオビ型、ベニモン型の両タイプの出現比率がどのように推移するかを調べたら面白いのではないだろうか。

▲ベニモン型のシロオビアゲハのメスにオスがつきまとう。

9月13日(火) 名瀬市自宅

 先日の台風14号で庭のハイビスカスの木が一部枯れてしまった。潮風がかかったためだろう。すでに2mほどの高さとなり、見苦しく伸びすぎていたので、この機に刈り込むことにした。チョキチョキと剪定ばさみを動かしていると、目の前を緑の生き物が横切るではないか。アオカナヘビだ。わが家の敷地でこいつを見るのは初めてである。ハイビスカスの葉陰にいると見つけづらいが、刈り込んでしまったこの木には身を隠す場所が少ないかも。せっかく来てくれたのに、気の毒にも追い払うようなことをしてしまったかな。

▲ハイビスカスの葉の上のアオカナヘビ。脱皮直後のようだ。

9月27日(火) 名瀬市金作原

 ここ数日、モニタリング1000の樹木調査で、連日金作原の林に入っている。毎日毎日樹木を見ているにもかかわらず、自分で自信を持って識別できる樹種は10種ほどである。植物の世界は深く、どこから覚えていけばいいのか、見当がつかない。まずは分類群から覚える必要があるのだが……。

 林内に設置されていた巣箱にヤモリが入っていた。ミナミヤモリである。人の家のみならず、鳥の家も守るんだとちょっぴり感心。

▲巣箱の底に忍者のようにへばりつくミナミヤモリ。