2019年 9月のフィールドノートから

9月28日 長崎県福江島

 9月の福江島といえばハチクマの渡りが有名だ。一度は行ってみたいと思っていた福江島の南西部に位置する大瀬崎を訪れる機会があった。大瀬崎を見下ろす大瀬山の駐車場にはには日の出前から何台もの車が駐まっている。キャンピングカーも散見でき、全国から集まったバードウォッチャーの猛者たちがここで寝泊まりしていることがわかる。なかには私の知人もいるわけだが。私自身はそこまで根性がないので、福江市街地のホテルから早朝レンタカーを飛ばしてここまでやってきた。所要時間は1時間弱。福江島もけっこう大きな島である。

 展望台にあがると東のほうの空がうっすら明るくなってきた。一方の西の空は暗雲がたれ込め、ときおり雷鳴が轟いている。果たしてこんな朝にハチクマは渡ってくれるのだろうか? そんな懸念などなんのその、6時30分頃からハチクマが次々と舞いはじめ、またたくまにタカ柱を作っていく。アカハラダカやサシバのタカ柱は奄美でも見ることができるが、ハチクマくらいのサイズになると、迫力が違う。頭上を旋回するもの、上空を目線の高さを通過するもの、谷底からあがってくるもの……遠くに目を転じると、そちらでもタカ柱ができている。毎日カウントされている方によると、この日は今季最高の2000羽以上が渡ったという。いい日に来たものだと、幸運に感謝する。

 ひとしきり観察を終えたところで、せっかくなので教会巡り。堂島教会の屋根の上の十字架にはトビが止まっていた。福江島ではトビですら敬虔なクリスチャンなのか?

▲朝焼けの中を舞いはじめたハチクマ。
▲幅広の翼がかっこいい。
▲谷底から舞いあがってくるハチクマは背面が見える。
▲西の空は不穏な雰囲気だが、それでもかまわずタカ柱を作るハチクマたち。
▲堂島教会のトビ。観光客が「隠れトビだ!」と喜んでいたが、まったく隠れていないのだが。