2013年 6月のフィールドノートから

*番外編*6月3日 二ツ森

 日本にある世界自然遺産4カ所のうち、唯一足を踏み入れたことがなかった白神山地。6月初めは山開きだし、ちょうど新緑も美しいだろうと思い立ち、強行軍で行ってみた。前夜、東京から新幹線で秋田に入り、レンタカーを借りて能代まできてそこで宿泊。当日は早朝に車で出発し、世界自然遺産登録地域へ向かう。最初は青森県側の白神岳に登ろうかと考えていたのだが、残雪がひどいようで断念。アクセスが容易な秋田側の二ツ森に目的地を変更した。登山口までは林道をくねくねと上る。落葉広葉樹の若々しい新緑が目に眩しい。沢の近くの路上ではアズマヒキガエルが交接している。時まさに春、である。

 駐車場に着いてさっそく歩きはじめようと思ってびっくり。こちらもまだ雪が残っているのだ。おかげで登山道がわかりにくいが、先人の足跡をたどって登る。登ることわずが10分ほどで秋田県藤里町と青森県鰺ヶ沢町との県境に出る。ここからが世界自然遺産のバッファーゾーンになる。周囲はみずみずしいブナの新緑。ツツドリやコマドリ、コルリ、オオムシクイの声が耳に優しい。足元のカタクリ、道脇のミネザクラはちょうど今が満開の見ごろだ。何か所かアイスバーン化した雪渓を慎重に登ると、30分ほどで標高1086mの山頂に出た。遠くに白神山地の最高峰、向白神岳と白神岳が見えるが。ここからその間の広大なブナ林は世界遺産のコア地域で、一般人は立ち入り禁止だ。美しく豊かな森に暮らすクマゲラやツキノワグマに思いをはせながら、下山した。

▲道路上で交接するアズマヒキガエル。
▲登山道の脇にはカタクリの可憐な花が満開。
▲広大なブナ林の彼方に聳える白神岳(左)と向白神岳(右)。

6月17日 奄美市大瀬海岸

 東京から奄美に戻ってみると、すっかり夏本番の空気。じっとりと暑い。大瀬海岸にソリハシセイタカシギが3羽入っているというので、空港から直行した。途中、枯れ枝で休むツミを発見。虹彩の黄色いメスのようだ。

 大瀬海岸に到着し、まず肉眼で眺めたところ正面に1羽、ソリハシセイタカシギがいる。他の鳥があまりいないので比較できにくいが、こうして見ると、結構大型の鳥に見える。双眼鏡で丹念に探すと、かなり離れたところにもう1羽は発見したが、3羽目は見つからない。もう抜けたのか、岩陰にでも隠れているのか。ひと昔前までは相当な珍鳥だったが、最近は渡来数が増えている気がする。この鳥もセイタカシギ同様に数が増えているのだろうか?

▲車で真下まで近づいても逃げなかったツミのメス。
▲ソリハシセイタカシギのデザインは何度見ても洗練されている。
タイトルとURLをコピーしました