2011年 1月のフィールドノートから

*番外編*1月6日~1月13日 沖縄

 山階鳥類研究所の鳥類モニタリング調査の手伝いのため、沖縄に行ってきた。7日から10日はやんばるの与那にある琉大の研究林で調査を行ない、ノグチゲラやアカヒゲ(亜種ホントウアカヒゲ)を間近で見る機会が得られた。ノグチゲラはオーストンオオアカゲラと似ているイメージがあったが、実際に至近距離から観ると、まったく違っている。羽衣の基本は茶褐色だが、腹部や下尾筒には赤が混じり、そのコントラストが絶妙に美しいのだ。どちらかというと、地味なキツツキという印象だったが、その美しさを再認識した次第。亜種ホントウアカヒゲは奄美に生息する亜種アカヒゲと比べると、上面の橙褐色の色味が鈍いし、オスでは脇の黒斑がなく。見た目はかなり異なる。両亜種間では鳴き声もかなり異なっているので、別種にしたほうがよいのではないかと思うほど。奄美の亜種アカヒゲのほうが美しく感じられるのは、身びいきだろうか? ちなみに沖縄在住で今回の調査の手伝いに来られていた渡久地さんは、亜種ホントウアカヒゲのほうがかわいく感じられるそうだ。

ノグチゲラもこの角度から観るとオーストンオオアカゲラによく似ているのだが……

 11日は移動日で、調査地を与那から名護市の多野岳へ移す。途中、大宜味村の喜如嘉に立ち寄り、飛来しているマガン2羽を観察する。昨シーズンから今シーズンにかけて奄美にはガン類の渡来が多かったが、それは沖縄でも同じだったようだ。昨シーズンの沖縄にはハイイロガンも出ており、かなり近い距離で観察できたそうである。うらやましい。夕刻、多野岳の沖縄ステーションに到着。標高385mのこの山は、山頂付近にホテルやキャンプ場などの施設があり、電波塔もたくさん建っている。そのためか伐採されて植生は寂しい感じなのだが、位置的にちょうど森林性の渡り鳥の中継ポイントに当たっており、それなりに鳥の密度も高いとのこと。事実、翌12日の調査では、一日で与那の四日半に匹敵するほどの成果が得られた。調査はこの後も数日続いたが、私は奄美での用事があったため、13日の朝ステーションを立ち去ったのであった。

喜如嘉の畦道で休むマガン