2016年 3月のフィールドノートから

*番外編*3月3日 シドニー レーン・コーヴ国立公園

 ニュージーランドからオーストラリアに移動し、シドニーに住む妹と甥っ子を訪ねる。夏にも関わらず寒かったニュージーランドと違って、シドニーは30℃越えの暑さだ。妹の家の近くにレーン・コーヴ国立公園という場所があるのを発見し、行ってみる。暑さのせいか、シドニー近郊にもかかわらず訪問客の姿は少ない。双眼鏡片手にクリーク沿いを歩いていると、足もとにいきなり大きな鳥が現れた。Australian brush-turkey(ヤブツカツクリ)だ。人が見ているにも関わらず、強力な脚でおかまいなしに地面を掘っている。ユーカリの林にはオーストラリアではおなじみのLaughing kookaburra(ワライカワセミ)、Sulphur-crested cockatoo(キバタン)、Rainbow lorikeet(ゴシキセイガイインコ)などの大型の鳥が飛びまわり、水辺ではAustralian wood duck(タテガミガン)、Pacific black duck(マミジロカルガモ)、Chesnut teal(アオクビコガモ)、Black-tailed native-hen(オグロバン)などが遊んでいる。大きいものは体長70センチほどにもなる爬虫類Austrarian waterdragon(ヒガシウォータードラゴン)もたくさん水辺で涼んでいた。しばらく進むと地面に数種の小鳥がいるのがいた。Red-browed firetail(フヨウチョウ)、White-browed scrubwren(マミジロヤブムシクイ)、Sperb blue wern(ルリオーストラリアムシクイ)だと判明。時間の都合で、コースの4分の1くらいしか回れなかったが、早朝じっくり回ればかなりたくさんの種類の鳥に出会えそうなすてきな場所だった。

▲いきなり足もとに現れたヤブツカツクリ。
▲樹洞(巣?)から飛びだすゴシキセイガイインコ。
▲水辺の日陰で休むヒガシウォータードラゴン。
▲アオクビコガモとオグロバン。
▲地面で採餌するマミジロヤブムシクイ。

3月29日 瀬戸内町油井岳

 奄美の森は新緑の季節。常緑広葉樹たちが重たい緑から色鮮やかな緑色へと衣替えをする季節。目にまばゆい林道上には役目を終えた葉が落ちでカサカサと音を立て、春の暖かい空気の中にはシイの花粉のむせるような匂いが立ちこめる。林道の脇に目をやると、リュウキュウバライチゴが赤い実をつけはじめている。ホウロクイチゴはまだのようだが、葉っぱの上になにやら赤いものが。オオシマカクムネベニボタルのようだ。体内に毒を持つベニボタル類は赤い警告色をまとい、どの種も同じような姿形をしている。ミュラー型擬態の見本のような昆虫だ。

▲ホウロクイチゴの葉の上のオオシマカクムネベニボタル
▲コンデジで撮影しようと近づくと、翅を広げて飛び去った