2018年 2月のフィールドノートから

*番外編*2月4日 鹿児島県出水

 出水の冬は寒い。ここに来るのはツルが滞在している冬季なので寒いのは当たり前という気もしなくはないが、それにしても寒い。ここが本当に鹿児島?と思うほどである。とはいえ雪の中でツルの観察をするのははじめての体験かもしれない。雪とツルならば北海道のタンチョウを思い出すが、マナヅルやナベヅルもそれなりに絵になるからすばらしい。元々寒い地域で繁殖している鳥だからだろうか、雪が降ってもツルたちはまったく意に介せずエサを探していた。

 寒いとささいなことで争いになるのだろうか。離れた場所では、ミサゴとハシブトガラスがバトルを繰り広げている。ミサゴが捕まえた魚をハシブトガラスが横取りしようとしているのかと思ったが、どうもそういうわけでもなさそうだ。なにがハシブトガラスの癇に障ったのか、しつこく付きまとわれて、ミサゴも困り果てているようすだった。

▲雪の中エサを探すナベヅルとマナヅル。
▲しつこくハシブトガラスにちょっかいを出されて、飛び立とうとするミサゴ。

2月27日 龍郷町長雲峠

 三寒四温の季節だが、奄美はすっかり春の陽気である。龍郷町の自然観察の森ではアカヒゲが高らかに囀り、ルリカケスが巣材を運び、オーストンオオアカゲラのオスがメスを追いかけている。繁殖シーズンの到来である。啓蟄も近いし、鳥の雛たちのエサとなる昆虫もぼちぼち活動が活発になる頃だろう。

 電柱にはチョウゲンボウが止まり、なにやら真剣に道路を見下ろしている。エサを物色しているのだろう。北へ渡る前にたくさん脂肪を貯えておく必要があるので、冬鳥たちにとっても大切な時期なのだろう。

▲近くにメスの存在を見つけたオーストンオオアカゲラのオス。
▲鋭い眼差しでエサを探すチョウゲンボウのオス。