2019年 8月のフィールドノートから

8月26日 沖縄県国頭村

 近年、やんばるを訪れるのはもっぱら冬が多かったが、用があって夏に訪れる機会を得た。早朝、林道を歩いていると、ハナサキガエルと遭遇。アマミハナサキガエルにそっくりだが、別種だという。アマミハナサキガエルのほうがひと回り大きくなるとはいえ、小さい個体も多いので、外見ではほぼ区別できない。ブルルブルルという鳴き声はアカヒゲのようだ。近くで亜種ホントウアカヒゲの雄の幼鳥がさかんに鳴いていた。奄美大島の亜種アカヒゲに比べて、断然観察しやすく、サービス精神が旺盛だ。

 安田に移動して、初めてヤンバルクイナの生態展示学習施設「クイナの森」を訪れてみた。展示されていたのはキョンキョンに次ぐ、二代目のクー太。すっかり人慣れしており、ガラス越しに至近距離から観察できる。案内係の方の説明も丁寧で、希少種の展示施設としてはかなりよくできているのではないだろうか。奄美でもこのような施設でアマミノクロウサギの展示ができないものか?

 比地大滝に行く途中の道ではオキナワハンミョウを目撃。本土のハンミョウとよく似ており、かつては亜種とされていたが、後翅の斑紋の模様や体型の違いから現在では別種となっている。間にある奄美大島にはまったく模様の違うアマミハンミョウが分布しており、興味深い。オキナワハンミョウに道教えされているうちに、ノグチゲラのペアが現れた。すぐに飛び去ったので、写真は撮影できず。

▲アマミハナサキガエルと瓜二つのハナサキガエル。
▲亜種アカヒゲのオス幼鳥。まだ嘴が黄色い。
▲「クイナの森」のクー太。人が見守る中、居眠りをはじめる大胆さ。
▲本土のハンミョウによく似たオキナワハンミョウ。