2006年 12月のフィールドノートから

12月3日(日) 宇検村湯湾

 湯湾岳にてバンディング。この冬はシロハラやツグミ、アカハラ、マミチャジナイなどが多数渡ってきている。それらの冬鳥、旅鳥に標識すると同時に、外部寄生虫の採取。昨今は鳥インフルエンザや西ナイル熱、ライム病などの媒介者として鳥が注目されており、国立感染研究所が本腰を入れて鳥の外部寄生虫から病原体を取り出す計画を打ち出したのだ。捕まるのはシロハラが多いが、ウグイスやマミチャジナイなどもかかる。寄生虫としてはウモウダニこそ多いものの、マダニやハジラミはさほどついていないようだ。寄生虫を除去してやったら、鳥は気持ちいいのかなあ。

 待ち時間に近くの水溜りをのぞくと、リュウキュウアカガエルの卵とシリケンイモリの幼生を発見。リュウキュウアカガエルの卵や幼生を餌にするべく、シリケンイモリの母親があとから産卵したとしたのだとしたら、イモリのほうが卵期間が短いのかな? それともシリケンイモリが先に産卵をしているのに気づかず、おろかなリュウキュウアカガエルの母が卵を産みつけたのか? いずれにしろこの水溜りではこのあとシリケンイモリによる、リュウキュウアカガエルの大殺戮が繰り広げられるのであろう。

 自然は過酷だ。

▲マミチャジナイにはウモウダニ以外の寄生虫は見当たらなかった。。
▲リュウキュウアカガエルよりもひと足先に孵化したらしいシリケンイモリの幼生。

番外編:12月22日(金)~24日(日) オーストラリアのフィリップ島

 妹夫婦と甥っ子と一緒にクリスマス休暇を過ごすためにオーストラリアにやってきた。5度目の訪豪となる今回は、メルボルンの郊外にあるフィリップ島でペンギンパレードを見るのが一番の目当て。夏とはいえ、南緯38度(北緯でいえば新潟とほぼ同じ緯度)の夜は海風が吹きつけて肌寒く、もしかしたら奄美の冬よりも寒いのではないかと思うほどであった。震えながら待つこと1時間、日がすっかり暮れた頃、小さな小さなコビトペンギン(Little Penguin)が次々と上陸しはじめた。数十羽の群れになってよたよたと行進し、巣穴に戻るさまは愛嬌があって実にかわいらしい。途中で群れから離れあさっての方向へ進むヤツや、一番後からのろのろついていくヤツなどを観ていると、人間の群れにも似たようなヤツがいるな、とにんまりしてくる。残念ながらペンギンパレードは写真やビデオでの撮影一切が禁止されているので、画像でお見せできない。かわりにフィリップ島で出合った他の鳥や動物をいくつかお見せしましょう。

オーストラリアペリカン(Australian Pelican)には餌付けが行われており、給餌時間近くになると魚を求めてちゃっかり集まってくる。
▲島にはコアラ保護区があって、野生のコアラ(Koala)を観ることができる。しかし、一日に20時間も眠る動物なので、活動しているヤツはほとんどいない。
モモイロインコ(Galah)はいたるところで目にする。うるさく鳴きながら林を飛び回っているのだ。
リングテールド・ポッサム(Ringtailed Possum)が昼寝しているところに出くわした。お互いびっくり。
▲宿泊したコンドミニアムが偶然ハシボソミズナギドリ(Short-tailed Shearwater)の大営巣地の隣で、夜通し騒がしい鳴き声が聞こえてきた。
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