2002年 4月のフィールドノートから

4月7日(日)曇り 名瀬市古見方

 オオトラツグミの追加調査で山間林道に行った後、古見方地区に立ち寄った。ここでの鳥見ポイントは大川の中と農耕地の電柱や電線である。まずは大川をのぞくが、鳥影は薄い。カルガモが1羽にバンが1羽、あとはカワセミのオスとメスが盛んに鳴きあって、つがい形成の前段階のようだ。

 電柱&電線に目を移す。もうサシバが北に帰っていった後なのでこちらもたいして鳥はいない。チョウゲンボウがちらほら。あとはキジバトにハシブトガラス。電線で尾を振っている小鳥はキセキレイとビンズイだった。

 渡りの鳥は入っていないかと帰りかけたとき、荒れた休耕地に動くものを発見。双眼鏡でのぞくと、なんとまあオシドリではないか。きれいなオス。オシドリというと、山間の渓流やあるいは冬の都市公園というイメージが強いが、農耕地で草の実をついばむオシドリははじめて観た。渡りの途中でお腹が空いているのか、車を降りて近づいても逃げず、一心に餌を食べていた。

▲農耕地に降り立ったオシドリのオス。

4月16日(火)曇り 大和村フォレストポリス

 縁とは不思議なもの。神奈川県の土方さんとはこのホームページが取り持つ縁で、バードウォッチングをご一緒させていただいた。実はお会いしたのは二度目で、最初は昨年の6月、北海道のシブノツナイ湖で偶然お会いしている。そこで野鳥の情報を交わした。去年のこのページに「シブノツナイ湖で会ったバーダー」と出ているお方こそ、他ならぬ土方さんだったのだ。ただしその際にはお互い名前を名乗らなかったので、名前は存じあげなかった。日本中を回って鳥をご覧になっている熱心なバーダーでいらっしゃる彼は今年3月に奄美にこられるに際して、奄美野鳥の会のホームページを見つけ、偶然このコーナーをのぞかれ、去年の北海道での出会いを思い出されたという。先月来島されたときに電話帳で鳥飼という名前を探り当て、電話をいただいたのだった。そしてこの4月再訪問時に、一緒に鳥を見ましょうと約束したのだった。

 約束を果たすべく、前夜は中央林道をご案内。きょうは朝方古見方を回った後、フォレストポリスへやってきた。ここでは昨年の営巣木に今年もまたオーストンオオアカゲラが卵を産んだようだ。オーストンオオアカゲラが巣穴を再利用することは始めて知った。中ではすでに孵化しているらしく、ときおり親鳥が餌を運んでくる。巣穴に交替で出入りする親鳥を待ちながら、土方さんとのんびり話をする。共通のバーダー仲間や日本各地の探鳥地について、話はつきない。

 こうして仲間が増えていくのは嬉しいことだ。

4月23日(火)晴れ 笠利町大瀬海岸&宇宿農耕地

 大瀬海岸もシギチの渡りで賑わってきた。すっかり胸が赤くなったメダイチドリや、顔を赤らめたトウネン、黒くたくましいオバシギ。せわしなく動き回っているのはソリハシシギやコアオアシシギ。のんびりと餌を探すチュウシャクシギなどなど。多彩な顔ぶれに飽きず、フィールドスコープをのぞいていると、目の前にスマートな小鳥がやって来た。声でツメナガセキレイだと知れる。双眼鏡で確認するとマミジロツメナガセキレイであった。

 干潟の後は宇宿の農耕地をゆっくり見て回る。あちらこちらにサギの姿が。アマサギとチュウサギだ。畑で虫を探している。電線にはコムクドリの群れ。渡りが本格化してきたので、これからしばらくは通うことになりそう。

▲仲違いでもしたようなアマサギとチュウサギのツーショット