2021年 9月のフィールドノートから

9月5日 奄美市笠利町万屋・宇宿

 早朝、ミフウズラを探しに行く。10年くらい前までは、奄美野鳥の会の8月の観察会として「ミフウズラ探鳥会」を実施していたのだが、それをやめてからというものミフウズラを観る機会がとんと減ってしまった。ということで一念発起して早起きし、笠利のサトウキビ畑に出かけた。奄美空港の前からサトウキビ畑に入り、ゆっくりと車を進ませる。と、すぐに乞うんした耕耘しただけでなにも植わっていない畑の畝の間にミフウズラのペアを発見。早朝から車が通るとは思っていなかったのか、ペアはしばし面食らったような表情で固まり、そのあと慌てて草地へと逃げていった。万屋の農耕地で幸先の良いスタートを切り、その後、城間、宇宿の農耕地を回ったが、この日は結局、もう1ペアをチラッと目撃しただけだった。日が昇って暑くなってきたところで、ミフウズラ探しは終了。宇宿漁港に寄ってみると、ムナグロとシロチドリの姿がパラパラ。すでに秋の渡りがはじまっている。

▲ミフウズラのペア。左がオス、右がメス。
▲宇宿漁港のシロチドリ。奥の個体は鳴いているわけでもなく、あくび?

9月12日 奄美市笠利町手花部

 手花部のメヒルギ群落でシモフリシオマネキが観られるということで、探しに来てみた。国道沿いに車を停めて、干潟に降りる場所を探して歩道を歩いていると、フクギの並木から1羽の鳥が飛び出した。シルエットはスズメなのだが声が違う。双眼鏡でのぞくと、シマキンパラではないか。北部笠利町ではシマキンパラが少数繁殖しているようだが、実態がよくわからない。サトウキビ畑など、かなり密なブッシュの中に巣を作るので、見つけづらいのだ。もしかしてフクギの木のどこかに営巣しているのかと思って探してみたが、巣はないようだった。干潟のオキナワハクセンシオマネキを眺めながら川を少しさかのぼり、橋のところから干潟に降りる。この付近は付近はベニシオマネキが多い。ベニシオマネキのメスは一様にべたッと紅色だが、オスの甲羅の色は変異が多い。メス同様に紅色の個体、白っぽい個体、黒っぽい個体などさまざま。川を下りながら両サイドの泥の上のカニたちに注目する。ヒメヤマトオサガニやフタバカクガニはたくさんいるが、白いシオマネキはオキナワハクセンシオマネキばかり。ときに大きくハサミも見事なヤエヤマシオマネキの姿もあるが、結局シモフリシオマネキは見つけられなかった。

▲フクギから飛びだして電線に止まったシマキンパラ。
▲ベニシオマネキのオス。甲羅が赤と黒の個体。
▲大型のヤエヤマシオマネキのオス。