2011年 2月のフィールドノートから

*番外編*2月2日~2月10日 薩摩川内

 1月に引き続き、山階鳥類研究所の鳥類モニタリング調査の手伝いに参加。本当は毎年この時期には、出水で調査を行なっているのだが、この冬はツルやニワトリで鳥インフルエンザが確認されたので、場所を薩摩川内市の高江干拓地に移して実施することになった。埋め立て地の水田には小鳥が多く、それを狙う猛禽も多数出現するバッドウォッチング・スポットである。高江の代名詞となっているのがカラフトワシ。今季で19年連続の飛来となる。野鳥保護会の方の尽力もあって、冬場は一般人立ち入り禁止となっているエリアもあり、その周辺で待っていればカラフトワシは意外と簡単に観ることができる。われわれも初日からひときわ大きなその姿を拝むことができ
た。

▲カラフトワシが舞うと、すかさずハシブトガラスが集まってきた。
▲わずらわしく感じたのか、カラフトワシがカラスを威嚇。
▲それでも最終的には気の強いカラスに軍配が上がり、カラフトワシは追われる羽目に。

 調査地は出水から40km以上離れていたが、マナヅルが毎日午後になると現われていた。出水から通っているのか、それともこの近くにねぐらをとっているのか。最初の二日間は十数羽の小群だったが、それが三日目からはひと家族3羽のみになっていた。出水ではすでに北帰行がはじまったようだ。

両親に見守られて安心して餌を探す若いツル(中央)

2月18日 中央林道

 この冬は寒いせいか、普段はあまり観られない冬鳥が結構観られている。そんな中、鳥仲間から中央林道でトラフズク出現のニュースを聴く。さっそく出かけてみたところ、林道上にクマネズミの数が多いのに驚く。どうやらトラフズクはこのネズミを狙っているようだ。ゆっくりと車を走らせること数分、眼前の木からなにかが飛び出した。翼下面の白と翼端の黒い斑だけしか確認できないが、そのふんわりとした飛び方からフクロウ類であることは間違いない。いつも見慣れているリュウキュウコノハズクと比べると、とんでもなく大きく感じる。間違いない、トラフズクだ。

 飛び移ったと思われる枝の付近にライトを当てると、いましたいました。最初は向こうを向いていたが、しばらくすると首をぐるっと回して、こちらをにらみつけてくる。橙色の光彩とピンと立った羽角。久々の大型フクロウとの対面にしばし心が震えた。

背中向きの体勢のまま、首を回してこちらを睨むトラフズク