2014年 3月のフィールドノートから

3月8日 龍郷町秋名

 春の渡りが始まった。いろんな鳥たちが島を通過する季節だ。なにか珍しい鳥はいないだろうかと秋名に行ってみると、いきなり大きな鳥がいた。ナベヅルだ。田んぼに積まれた藁をさかんにひっくり返し、なにかをついばんでいる。小さな昆虫のたぐいだろうか。出水ではもう北帰行が終盤戦。かの地で越冬していた個体が間違えて南下したのか、と思っていると、沖縄の鳥友から電話が。屋我地にナベヅルが5羽飛来したのち、1羽が昨日いなくなったとのこと。タイミング的にはぴったりなので、こいつは沖縄からひとっ飛びしてきたのかもしれない。だとしたら中国あたりで越冬していた個体が北へ帰る途中に立ち寄った可能性もある。いずれにせよ、無事に繁殖地まで帰ってほしい。

▲秋名に飛来したナベヅル

3月22日 宇検村某所

 23日は全国から120名強のボランティア調査員を招いて実施するオオトラツグミのさえずり一斉調査。ここ一週間はその準備と補足調査で連日忙しい。今年は春の訪れが遅いように感じていたが、数日のうちに新緑が一気に進んだ。森に生気が充ちており、花もいろいろ咲いている。なかでも私が最も好きなのはアマミセイシカである。聖紫花という名にもかかわらず、ほとんど白に近い淡いピンクの花が一般的だけれど、今日観た株はまるで別種かと見まごうほど花の色が濃かった。探せばこんなセイシカもあるんだね。

▲これならば聖なる紫の花と呼んでもいいだろう
タイトルとURLをコピーしました