2009年 4月のフィールドノートから

4月1日 龍郷町秋名

 秋名の水田では田植えが始まった。水を張った田にはそこかしこに農作業中の人影がある。これだとなかなか鳥は寄り付けない。ざっと観たところチュウサギやコチドリくらいしか見当たらないので、早々に引き上げようとするとなにか大きな鳥の姿がある。双眼鏡を当てるまでもなくわかる。ホウロクシギだ。ホウロクシギが2羽、田んぼに降り立っている。長く湾曲した嘴を持つこの大型シギが干潟で器用にカニなどを食べる光景はよく目にする。

 ホウロクシギは田んぼのあぜを大股で歩きながら、時折嘴を土の中に突っこんではぐいぐい頭を動かし、昆虫のようなものを引きずり出して食べていた。あぜに穴が開いて水漏れするんじゃないかというくらいの激しい動き。至近距離で観るとすごい迫力だ。

▲長い嘴の根元に泥が付着している。つまりここまで嘴を差し込んでいるわけで……。

4月11日 大和村宮古崎

 奄美のタケの種類についていまだにはっきりとしたことがわからないのだが、ホウライチク属のホウライチク、マダケ属のホテイチク、メダケ属のリュウキュウチク、タイミンチク、カンザンチクなどがあるのは間違いないようである。このうちホウライチク属はバンブー、マダケ属はタケ、メダケ属はササに分類される。宮古崎はリュウキュウチクの笹原が広がる奄美では唯一の場所で、私のお気に入りのスポットのひとつである。東シナ海に沈む夕陽を見るには抜群のロケーション。春風に吹かれて日が沈むのを眺めていたら、リュウキュウチクを寄主植物とするオオシマウスアヤカミキリがいつのまにかザックにくっついていた。

▲オオシマウスアヤカミキリのオス。持ち帰り後日、自宅の庭で撮影したもの。普通はリュウキュウチクやハチジョウススキにいる。
▲リュウキュウチクの笹原の向こうに沈む夕陽。抜群の眺めだが、帰りは足元が暗くなるので注意が必要。