2018年 4月のフィールドノートから

4月12日 秋名

 大学時代にアメンボ研究の指導をしていただいた恩人ともいえるH先輩が来島された。先輩のメインの目的は仕事関係の別件だったのだが、もちろん空いた時間はアメンボの観察である。長雲の奄美自然観察の森でコセアカアメンボを観察したあと秋名に移動し、休耕田でアマミアメンボの繁殖行動を観察した。こうして先輩とふたりで観察するのは実に36年ぶり。時間がワープして大学4年生のときに戻ったようだ。先輩も最近はアメンボの研究から遠ざかっているとおっしゃっているが、亜種アメンボと亜種アマミアメンボの繁殖行動の違いに関する仮説や、コセアカアメンボの生態学上の発見など、話を聞いているだけでわくわくしてくる。長らくアメンボから遠ざかっていたが、やはり自分にとっての原点にはたまにもどってみることが大切だと実感した次第。

▲アマミアメンボの繁殖行動-産卵する長翅型のメスをガードする短翅型のオス。
▲アマミアメンボの繁殖行動-そこへ長翅型オスが邪魔しに現れた。しかし、ガード中の短翅型オスが見事に追っ払う。

4月18日 宇検村湯湾

 春の渡りの途中でなにかおもしろい鳥が立ち寄っていないかと期待して、湯湾のグラウンドに行ってみた。まず見つかったのはツバメチドリが1羽。しばらくじっとしていたが、短い足で急に走りだし、なにかをパクっとくわえた。ハチのようだ。なかなか器用に捕まえるものだと感心しきり。それ以外はハクセキレイが4羽。3羽は亜種タイワンハクセキレイで1羽は亜種ホオジロハクセキレイのようだ。ハクセキレイやツメナガセキレイでは異なる亜種の個体が一緒にいるところをよく見かけるが、きちんと繁殖隔離はおこなわれているのだろうか。謎である。

▲ツバメチドリがなにかを捕まえた。
▲どうやらハチのようだ。
▲ハクセキレイの亜種タイワンハクセキレイ。
▲こちらは亜種ホオジロハクセキレイ。

*番外編*4月30日 北海道北広島市

 早春の音江別川河畔を歩く。すっかり夏羽となったノビタキのオスが飛び交い、ホオアカやヒバリがさかんにさえずっている。まだ北へ帰っていないツグミの姿もある。オオジシギを期待したのだが、それらしい声も姿も確認できず、残念。続いて野幌原生林に隣接する北広島レクの森へ足を伸ばす。アカゲラ、ハシブトガラ、ゴジュウカラなどがポツリポツリと観察できた。池でアメンボの姿を探すと、エゾコセアカアメンボが見つかった。まだ動きが活発ではなく、単独行動をしていた。

▲夏羽のノビタキのオス。
▲ホオアカがさえずっていた。

▲落葉の上で落葉の上で休むエゾコセアカアメンボ。
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