2018年 5月のフィールドノートから

*番外編*5月1日 北海道苫小牧市

 GWの北海道は新緑も始まっておらず、葉の落ちた広葉樹林は寒々しい。その一方で鳥は探しやすい。最初は鳥の気配がなかったが、しばらくすると混群がやってきた。シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラにコガラ、ゴジュウカラ。コゲラやセンダイムシクイも交じっている。なかなか賑やかな群れだ。近くの木の幹に止まった鳥がいたのでコゲラかゴジュウカラかと思っていると、なんとキバシリではないか。想定外だったのでちょっと嬉しい。ジュクジュクとぐぜるような声がするので双眼鏡を向けてみると、エナガである。今巷で人気の亜種シマエナガ。エナガは日本一嘴の短い鳥だが、真っ白いもふもふの体に黒い目と嘴がアクセントとなって、たしかにかわいい。人気が出るのもわかる気がする。

▲キバシリとの出合いは何年振りだろう。想定外だった。
▲人気沸騰中のシマエナガちゃん。

5月22日 与論島

 鳥類繁殖分布調査のために与論島にやってきた。森林らしい森林がないうえに面積の小さな与論島は、森林に覆われ大きな奄美大島などに比べると当然ながら繁殖鳥類は少ない。しかしながら奄美大島では繁殖していないウグイスがとても高密度で繁殖しているし、それに托卵をするホトトギスもいる(繁殖が確認されているわけではないが)。あと、人為導入かもしれないが、キジもたくさんいる。キジは奄美大島では古見方地区でしか見られない(しかも近年はほとんど確認されていない)ので、なにげに木の枝なんかにとまっている姿を見つけると、思わずカメラを向けてしまうのである。海岸に出ると、イソヒヨドリの両親が巣立ち雛に交互で餌を運んでいる場面に遭遇した。すでに親とほぼ同じ大きさにまで成長した雛の食欲を満たすのは大変そうで、親鳥は頻繁に餌を運んでいた。海岸風衝林にツミの姿が多いのも与論島の特徴かもしれない。狙っているのはヒヨドリやメジロなどの小鳥であろうか。

▲朝早く、木の枝に止まるキジのオス。改めて見ると蹴爪がすごい。
▲巣立ち雛に給餌するイソヒヨドリのメス親鳥。
▲高い木の上から獲物を探すツミのオス。

5月24日 笠利町手花部

 奄美大島奄美市笠利町での鳥類繁殖分布調査。笠利町は奄美大島の中では森林面積の少ないところだが、それでもルリカケスやオーストンオオアカゲラ、アカヒゲなどの声は普通に聴くことができる。ヤマガラやサンショウクイすらいなかった与論島とは大違いである。もう春の渡りも終盤だと思うが、チュウサギとアマサギの群れが畑に降りている。その群れから少し外れたところに、アカガシラサギが1羽いた。もう夏も近いのにまだ夏羽に換羽しておらず、完全に渡りのタイミングを失した感じ。海辺に出るとキアシシギがいた。彼らもこれからシベリアまで渡っていかねばならない。まだ先は長い。きばれよ!

▲冬羽のアカガシラサギ。
▲干潟で餌を探すキアシシギ。