2019年 10月のフィールドノートから

10月4日 奄美市笠利町望楼台

 春と秋は奄美大島の最北部にあたる笠利崎の背後の高台、望楼台でバンディング調査をおこなっている。この時期に調査をおこなうのは初めてであるが、やたらとエゾビタキの姿が目立つ。おそらく、いまが渡りのピークなのだろう。そこら辺をさかんに飛びまわっては、かすみ網にも次々とかかる。それにしても昨日は惜しかった。カンムリカッコウと思われる鳥が、かすみ網に入ったものの、大きすぎてからまず、逃げられてしまったのだ。超珍鳥を手にとってじっくり眺めることができたチャンスだったのに、残念で仕方がない。それでも今日はオオルリのオスの1Wがかかり、テンションが上がる。本土では普通の夏鳥でも、奄美ではめったにみることのない鳥だからだ。コムクドリの小群やツバメ類、アカハラダカ、チョウゲンボウなどが渡っているのも確認した。

 バンディングの待ち時間は読書をしていることが多いが、ときどき周囲に目をやると、センダングサの蜜をいろんなチョウが吸いに来る。モンキアゲハやジャコウアゲハ、イシガケチョウにヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモンなど。チョウといえば、高台ではリュウキュウムラサキが追いかけ合いをしていた。以前にもここで目撃しており、花があるわけでもないのになぜここに集まるのか、不思議。

▲そこら中にエゾビタキがいる。
▲吸蜜するモンキアゲハのオス。
▲体の赤が毒々しいジャコウアゲハ。

10月13日 宇検村宇検

 宇検村でサシバの観察を熱心におこなわれている与名さんが宇検集落の漁港でサシバの渡りの観察会をやられるというので参加してきた。

 サシバの春の渡り、いわゆる北帰行は笠利崎が観察ポイントなのだが、秋の渡りのルートについてはあまり考えたことがなかった。サギ類と同様に西海岸沿いを南下していくとするならば、宇検集落はまさに通過ポイントとなるだろう。朝のうちは小雨交じりの曇天でサシバも飛ばなかったが、時間が経つにつれ日が射してきて、気温も上がってきた。それに呼応するように、サシバも舞いはじめた。与名さんによると、この地で越冬する個体はすでに到着して縄張りを形成しており、それを持たない個体が渡っていくのだという。5羽、6羽と青空を旋回しては渡るタイミングをはかっている。あいにくこの日は渡る個体はいなかったが、間近にサシバの姿を観ることができて大満足の1日だった。

▲真上を旋回する幼鳥。
▲上の写真の個体よりは年齢の進んだ若鳥。
▲なわばりに入ってきた個体を追いだそうとする越冬若鳥。
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