2021年 11月のフィールドノートから

11月14日 龍郷町戸口

 今日も戸口川でのカワウ調査。水位が低いのでカワウは着水できないが、サギにとっては絶好の狩り場のようだ。コサギにダイサギ、アオサギ、クロサギ、ササゴイが魚を狙っている。イソシギやキセキレイ、カワセミの姿も。ひと月前にかなり流れ込んでいた軽石はほとんど見かけない。同化したのか、撤去したのか、他の場所へ流れていったのか? 夕方の調査のときには、朝は観なかったタゲリやカイツブリの姿もある。しかし、今日もカワウとリュウキュウアユは確認できず。地元の方の話によると、数十年前は戸口川も水位が高く、淵には手製の弓矢で撃って捕るほどリュウキュウアユがいたそうだが……。

▲石垣をバックにすると目立たないササゴイ。
▲イソシギがところどころに。
▲目の前に降り立ったタゲリ。

11月15日 奄美市住用町摺勝

 ツメナガホオジロが出ているという情報を得て、住用の摺勝農耕地に行ってみた。詳しい場所まで聞いていなかったが、目当てのツメナガホオジロはすぐに見つかった。これまでえも何度か奄美で出ているが、私自身は奄美で観るのは初めて。道の端でさかんにイネ科植物の種子をついばんでいた。車を移動させると、道路から飛び立った2羽の小鳥がブッシュに入った。しばらく待っていると、戻ってきたのはコホオアカとカシラダカのメス。種が違うのに、仲良く一緒に草の実を食べていた。

▲単独で行動するツメナガホオジロ。
▲一緒に行動するコホオアカとカシラダカ

11月20日・21日 奄美市笠利町

 アジア猛禽類ネットワーク、日本鳥類保護連盟、日本野鳥の会、奄美野鳥の会、奄美の自然を考える会、環境省奄美野生生物保護センターなどが一丸となって、奄美大島(加計呂麻島を含む)で越冬するサシバの数を調べようというサシバ一斉カウントがおこなわれることになった。よくもこれだけの団体がヴォランティアの調査に集まったものだと感心するが、発起人の山崎亨会長の呼びかけがそれだけ影響力を持っていたという証左であろう。私は笠利ブロックのリーダーを任され、主に奄美野鳥の会のメンバーで、笠利の25ルートを20日から23日までの四日間で踏査することになった。

 笠利の担当に決まったときから、どうしても調べたい場所があった。以前からしばしば「白いサシバ」が目撃されている場所があったのだ。ということで、20日はリーダー権限で、自分がその場所を含むルートを担当した。すると、いました、白いサシバ! 白いのでよく目立ち、遠くからでもすぐに見つかりました。双眼鏡で見てみると、全身が白いアルビノ個体ではなく、バフ変と呼ばれる色素異常だの個体とわかる。最初に目撃されたのが10月初旬なので、ひと月半は当地に居ついていることになる。願わくば無事に越冬して、来年もまた帰ってきてくれることを!

 21日は空港近くの県道と農道で調査をおこなった。交通量が多いせいか、前日のルートに比べるとサシバの数が少ない。ようやくサシバが飛んだかと思うと、どこかシルエットがおかしい。写真を撮って確認してみると、オオタカだった。奄美ではオオタカはあまり観られないので、得した気分なった。

▲神々しさを感じるバフ変サシバ
▲サシバ調査中に出現したオオタカ