2013年 2月のフィールドノートから

2月9日 奄美市住用町マングローブ

 非常に久しぶりマングローブでカヌーを漕いだ。2010年の水害以来初めてだったが、水害と台風により役勝川河口は随分と地形が変わってしまっている。以前はカヌーで入ることのできたクリークも、通れなくなっている場所があって、ちょっと悲しい。痛ましく感じるのは人間の勝手で、きっと自然はたくましく再生していくのだろうし、そうあってほしい。

 干潮だったので干潟に上陸。夏はそこらじゅうにいるオキナワハクセンシオマネキもほとんど姿がなく、全般的に生き物の気配が薄い。それでも砂を掘るとミナミコメツキガニは見つけることができた。手に取ると、卵を持っている個体が多いのに気づく。この時期はあまり来たことがなかったが、どうやらミナミコメツキガニの産卵シーズンは冬のようだ。

▲ミナミコメツキガニのようすがいつもと違うと思って裏返して見ると……
▲……たくさん卵をかかえていたのであった。

2月22日 龍郷町秋名

 内地からわざわざノハラツグミを観に来る人がちらほらいるようだが、結果はその日の運次第で、すぐに観られた人も粘って観られた人も観られなかった人もいる。建国記念日の3連休を利用してやって来た人は残念ながら観られなかったそうだ。そのかわり、シラガホオジロのオスを観たらしい。きれいなオスだったらしいので、観たくなって調査の合間を縫ってやってきた。ところがシラガホオジロはおろか、アオジの声すらほとんどせず、ホオジロ科の鳥はまったくさえない状態。シロハラの数もかなり減っており、冬鳥たちは早くも帰りはじめたのかもしれない。これではノハラツグミも無理だろうと思いつつ、ポイントに行ってみると、なんとすぐ近くにいるではないか。以前よりも人を恐れなくなったようで、双眼鏡が必要ないほどの近さで、さかんに餌を探していた。スヴェンソンの識別ガイドによるとオスとメスで頭の色や大雨覆の色が違うらしい。どことなくメスのようだが、はっきりしたことはつかまえてえてみない限りわからない。このノハラツグミいったいいつまでいてくれるだろうか。

▲あまり警戒しなくなったノハラツグミ。