2020年オオトラツグミ一斉調査 結果報告

27回目のオオトラツグミ一斉調査の結果を掲載しました。調査方法を一部見直して7年目、中央林道でのさえずり個体数は昨年同様、過去最高に迫る勢いでした。

第27回オオトラツグミ一斉調査について
~奄美中央林道で102羽、全域では281羽確認~

 1994年から奄美野鳥の会が中心となり、島内外の多くのボランティア調査員の方々のご協力のもと進めてきたオオトラツグミ一斉調査は、今回で27回目(27年目)を迎えました。前年の第26回に引き続き、奄美中央林道を中心とした一斉調査を実施し、補足調査は主要な林道に限り実施することで、可能な限り調査精度を上げることに努めました。

 また、今後生息域が拡大する可能性も考えられるため、龍郷町の市理原地区のほか、奄美市笠利町の喜瀬地区や用安地区、さらに北の鍋比林道でも調査を実施しました。今後渡来が期待される加計呂麻島の一部でも実施しました。

 第27回オオトラツグミ一斉調査は、3月22日(日)に奄美中央林道全域のほか、スタルマタ林道(~西仲間)、住用ダム線、油井岳林道などで実施しました。22日の一斉調査の一日だけで136名の方々の参加をいただきました。この一斉調査の結果、オオトラツグミのさえずり個体数162羽(うち中央林道は102羽)を確認することができました。

 第27回一斉調査と補足調査(ICレコーダーにより調査を含む)を合わせたさえずり個体の総数は、第26回の381羽(調査地点数182)より100羽少ない、281羽(調査地点数150)となりました。2020年3月は新型コロナウイルスの影響等で、補足調査の調査地点が32地点少なくなったこともあり、確認個体数が減りました。

 長年にわたり継続調査している奄美中央林道でみると、第26回はこれまでの調査で2番目に多い102羽を記録しましたが、第27回も同じく102羽を記録し、前年に引き続き、多くのオオトラツグミの生息を確認することができました。補足調査では、第23回で初めて2羽のさえずりが確認された市理原で、今回は5羽が確認されました。北部の喜瀬、用安地区や鍋比林道、南の加計呂麻島では、まだ確認されませんでした。

 今回も、多くのみなさま方のご協力とご理解があって、無事に調査を終えることができました。ボランティア調査員として調査に参加されたみなさま、ご支援をいただきました行政や諸団体および個人の方々、調査資金にご寄付いただいたみなさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。ご支援、ご協力ありがとうございました。

特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会

●2020年(第27回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地  150箇所
確認羽数 281羽
調査員  253人(延べ人数)

●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移
奄美中央林道その他合 計
199024羽1羽25羽
199440羽14羽54羽
199518羽14羽32羽
199618羽11羽29羽
199727羽14羽41羽
199821羽17羽38羽
1999 調査方法変更28羽72羽
44羽
200025羽36羽61羽
200140羽34羽74羽
200240羽37羽77羽
200343羽61羽104羽
200442羽84羽126羽
200568羽103羽171羽
200647羽118羽165羽
200778羽171羽249羽
200847羽180羽227羽
200951羽225羽276羽
201032羽262羽294羽
201145羽288羽333羽
201259羽 296羽 355羽 
201396羽 426羽522羽 
201485羽調査方法変更 
215羽300羽
201573羽241羽314羽
2016106羽230羽346羽
201754羽191羽245羽
201879羽234羽313羽
2019102羽279羽381羽
2020102羽179羽281羽
「奄美中央林道」は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスによる調査。1998年までは数日かけて調査をおこなったが、1999年以降は同日に一度で調査を行っている。
「その他」は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。2014年以降、奄美中央林道と一部の林道のみにしぼって調査。
*表は、Strix vol.15.1997「.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会」に1997年以降の結果を加えて作成。

 奄美中央林道での調査では、昨年と同数の102羽となった。これは、これまでで最も多かった2016年(第23回)の106羽に次いで2番目に多い記録である。全調査地域では、前年より調査地点が32地点少なかったため、全体の確認数は前年より100羽少ない281個体となった。また、前年1羽のさえずりが記録された市理原地区では、今回は5羽が確認された。さらに北部地域の喜瀬・用安地区や鍋比林道、また南部の加計呂麻島では、さえずり個体は確認されていない。