2024年 9月のフィールドノートから

*9月3日 宇宿漁港

 ヨーロッパムナグロの夏羽が現れたと聞き、居ても立ってもいられずに夜明けと同時に行ってみた。大瀬海岸が満潮のとき、一部のシギやチドリはお隣の宇宿漁港の草地に集まる。夜明け時はちょうど満潮だったので、きっとこちらにいるはずという計算があった。到着して日の出前のまだ薄暗い草地を双眼鏡でスキャンしていく。どこかにムナグロの群れがあるはずだが……いない。いるのはキョウジョシギばかり……と思っていたら、中に1羽だけ背の高いシギチがいる。ヨーロッパムナグロだ! 一緒にいるはずと思ったムナグロがいないので大きさの比較ができないが、ムナグロよりも脚が短めのぼってりしたプロポーションで、初列風切の突出および尾羽との長さがムナグロとは異なる。まだ夏羽なので胸から腹が黒いが、胸部の黒色が明らかに狭い。そして、飛んだときに翼下面が白い。ヨーロッパムナグロで間違いないようだ。モンゴルでヨーロッパビンズイやヨーロッパヨタカを捕まえ、ヨーロッパハチクイやヨーロッパチュウヒを観て帰ってきたら、今度は奄美でヨーロッパムナグロ! なんとヨーロッパづいていることか。夢中でヨーロッパムナグロを観察していると、なにげに近くに1羽のチドリが近づいてきていた。オオメダイチドリだった。

奄美初記録と思われるヨーロッパムナグロ
翼下面の白色は写真に撮れなかったが、胸の黒色部の狭さも特徴のひとつ
近くにはオオメダイチドリも
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