2010年 11月のフィールドノートから

11月03日 奄美市笠利町大瀬海岸

 11月3日は奄美野鳥の会の創立記念日。この日で、奄美野鳥の会は22回目の誕生日を迎えた。ありがたいことである。創立記念日には毎年大瀬海岸で探鳥会を行うしきたりになっている。ちょうどシギチの渡りやカモの渡来し始める時期に当たり、それなりの種数が期待できる探鳥会である。

 いざ着いてみると、干潮のタイミングに当たり、鳥影が遠い。近くにいるのはハマシギとオオバンくらいで、フィールドスコープでのぞけばダイシャクシギ、ホウロクシギ、トウネン、メダイチドリ、シロチドリなどの姿が散見できる。そんな中、白い鳥が干潟の中程で休憩しているのを発見。カモメかと見まごうほどの堂々たる体躯は、オニアジサシにほかならない。10月半ばにこの地に降り立ち、いまも滞在を続ける迷鳥である。赤い嘴が目立つこの大きなアジサシはどこか寂しげに佇立していた。

▲迷い込んで半月になるオニアジサシ。

11月10日 奄美市住用町内海

 10月19日、20日の奄美の豪雨で最も大きな被害を被ったのは住用地区だった。ようやくライフラインも復旧し、生活道路の通行が可能になったが、林道などはまだ手つかずで崩れっぱなしというところも多い。そんな中、三太郎峠でアマミヤマシギの24時間テレメ調査を敢行した帰り、内海の湾をのぞいてみた。今回の水害に際しては避難所として初めて役に立ったと言われるベージュとグリーンのけばけばしい体験交流館をバックにいくつか水鳥の姿がある。オオバンにマガモ、そしてひときわ大きいのが奄美初渡来となるサカツラガンである。この湾には、昨シーズンはヒシクイとコクガンも飛来しているので、奄美ではガンの生息しやすい環境なのかもしれない。サカツラガンは長い首を水中につっこんでは、さかんに水草を食べていた。

▲大きな体で水草を食べるサカツラガン。シナガチョウの原種である。

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