2004年 4月のフィールドノートから

4月8日(木) 曇り 龍郷町秋名

 春の渡りが盛んになってきた。ここ秋名では4日にムラサキサギが観られたし、その前にはシマアジも入っていた。きょうも何かいないかと車で丹念に探す。この一週間で田植えがほとんど終わっており、稲の苗の間にバンやタカブシギ、セイタカシギなどの姿がちらほら。チュウサギやアマサギの数も増えている。チーと鳴きながら飛んでいるのはムネアカタヒバリだろう。まだ田植えがされていない田んぼがあり、そこに白色が目立つカモが。双眼鏡でのぞく前からシマアジだとわかる。シマアジのオスはとても綺麗だ。夕方でしかも曇天という悪条件ながら、デジスコで撮影。

▲シマアジのオス。バックはバン。

4月14日(水) 曇り 龍郷町自然観察の森

 奄美の留鳥は繁殖の真っ最中だが、残念な事件が起こった。この森で観察していたサンショウクイの巣が、きょう観るとなくなっていたのだ。11日にはまだメスが抱卵中だったので、ヒナが巣立ったことは考えられない。よく見ると巣は破壊されている。おそらくカラスが孵化したばかりのヒナを狙って襲ったのだろう。ヒカンザクラの実がたわわになるここでは、このところ連日ハシブトガラスの姿を観ることが多かったが……。繁殖とは命がけの行為なのだ。人間にも見つかってしまうようなサンショウクイの巣をカラスが見逃すはずはなかったのかもしれない。

▲11日にはサンショウクイのメスが抱卵中だったのだが……。

4月26日(月) 曇り 龍郷町某林道

 環境省の希少野生動物保護増殖事業で、3月と6月にアマミヤマシギの全島での分布調査調査が行われている。それに先立って、現在繁殖期の出現個体を捕獲し、標識調査(カラーリングの装着)を実施している。その最中、今年度はじめてのアマミヤマシギの親子を目撃した。母親が4羽のヒナを連れて、林道上を歩いていたのだ。アマミヤマシギは生後直ぐに歩くことができる。親の後を追ってちょこまか歩くヒナのかわいいこと! ノネコやハブにやられないことを祈る。

▲生後間もないアマミヤマシギのヒナ。小さいのに足は立派。
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