2004年 6月のフィールドノートから

番外編 6月5日(土)~6日(日) 茨城県神栖町

 上京中だったので、つくばの環境研に勤務している永田くんのバンディングの手伝いをした。場所は利根川に広がる葦原で、張る網の枚数は35枚。普段奄美で行っているバンディングとは規模が違う。

 今年初めての調査ということで、張って早々にオオセッカやセッカ、コジュリン、コヨシキリなどが次々にかかる。セッカを除いては奄美では観ることのない鳥だし、オオセッカにいたっては関東でもこの近辺でしかお目にかかることができない貴重な鳥だ。結局捕まえることができたのはこの4種にオオヨシキリ、ウグイスを加えた6種のみであったが、普段観ることのできない鳥を至近距離で観られて幸せだった。

▲神栖名物のオオセッカ。セッカという名がついているが、センニュウに近い種。
▲コヨシキリは白い眉斑の上の黒い頭側線のためきりっとした顔立ちに見える。

6月27日(日)晴れ 笠利町大瀬海岸

 アジサシが観たくなって、笠利町の土盛海岸~大瀬海岸~土浜海岸を回る。
 土盛では対岸の岩礁の裾野に広がる砂浜にコアジサシが数羽うずくまっている。抱卵中なのだろうか。数年前までは岩礁の上ではベニアジサシが営巣していたのだが、去年はダメだった。今年もいまのところ姿が見えない。心配である。遠くの岩礁上にエリグロアジサシの姿だけは確認できた。

 大瀬では台風6号の後からハシブトアジサシの姿が見られる。先月末に飛来したクロツラヘラサギと並んで、2大スターという感じ。クロハラやハジロクロハラでもいないかなと探していると、比較的近くに1羽のアジサシが降り立った。こいつなんだっけとしばらく考えて、ただのアジサシだということを思い出す。そういえば、ここ数年見ていなかった。足にわずかに赤味の入る個体だった。

 コアジサシの繁殖地である土浜へ。しかしながらここにはシロチドリしかいない。仮に営巣していたとしても、台風6号の大波をもろに受けたはずのここでは、卵もヒナももたなかっただろう。

▲このアジサシは水中を歩行しながら餌を探していた。アジサシらしからぬ横着な奴!