2004年 10月のフィールドノートから

10月9日(土) 笠利町大瀬海岸

 ここ大瀬海岸ではついにクロツラヘラサギが1羽越夏した。まだ若い個体らしく、夏にも婚姻色にはならなかった。仲間とはぐれたまま、いつまでここに居つくつもりなのだろう。昼間はくちばしを背中につっこんで寝ていることの多いクロツラヘラサギだが、きょうはどういう風の吹き回しか、さかんに羽づくろいをしたり、餌を採ったりしている。長いくちばしを半開きにして、水中の獲物を探して首を左右に動かしながら前進するかっこうはなかなかにユーモラスだ。

▲頭を掻くクロツラヘラサギを正面から激写。

10月25日(月) 名瀬市自宅

 ルリカケス用の巣箱には、巣材として枯れ枝や枯れ葉が持ち込まれる。ルリカケスが巣立った後も巣材をそのままにしておくと、それを餌にして甲虫の幼虫が育つらしい。去年、高さんからその話を聞き、写真を見せてもらったときは、クワガタかなと思った。しかし、今年、高さんに実物を持ち帰ってきてもらうと、どうやらクワガタではない。すでに体長3~4センチにも成長しているが、これはなんの幼虫なのだろう。コガネムシの仲間ではあるようだが……ルリカケスの巣材を食べる謎のコガネムシ、とりあえず幼虫を飼ってみることにした。さて、どんな成虫になることやら?

▲よく見ると結構毛深い幼虫。甲虫の幼虫は成虫と形が違いすぎて、この後どう育つか見当がつかない。