2022年 1月のフィールドノートから

*番外編*1月26日 福岡県北九州市山田緑地

 ほぼ月一回のペースで実家の小倉に帰っている。父親の健康状態が思わしくなく、介護が必要なのだ。年末年始にも来ていたので、ほぼひと月ぶりの帰省となる。幸い父親は調子がよさそうだったので、午前中だけ鳥見に出かけた。場所は山田緑地。高校時代は山田弾薬庫跡と呼ばれ、科学部の仲間と化石掘りに来たことがある。いまでは公園として整備され、市民の憩いの場となっている。駐車場から園内に入ったところが広場になっており、周囲にクスノキが何本も植わっている。その下を通ると、ツグミが次々と飛び出した。5羽、10羽、20羽……最終的には50羽ほどにも達しただろうか。見上げるとクスノキの枝先に黒い実がたくさんなっている。ツグミはこの実を食べていたようだ。常緑樹のクスノキは冬でも葉がたわわに茂っているので、ツグミがいるのに気づかなかった。山田緑地にはカスミサンショウウオが生息しているらしい。冬の時期は繁殖期に当たるはずなので沢をのぞいてみたが、見当たらない。水を飲みに来てたシロハラがビュルルルルと驚いて飛び出しただけ。草地に動く影があるので双眼鏡でのぞいてみるとミヤマホオジロだった。草の種を探して食べているようだ。

 1月は新型コロナウイルスに感染してしまったため、ゆっくり外を歩く機会がほとんどなかった。あまり鳥はいなかったが、それでも久しぶりのバードウォッチングを満喫して、実家に帰宅。父親と一緒に昼食を食べる。まさかそのサンドイッチが父親の最期の食事になろうとは、そのときは考えもしなかった。

▲ツグミが食べていたクスノキの実。
▲沢から飛び出したシロハラ。
▲草の実を探すミヤマホオジロ。