2006年 1月のフィールドノートから

1月11日(水) 龍郷町秋名

 今年初めての鳥観は秋名で。14歳のころからバードウォッチングを始め、新年10日過ぎまで鳥を観に行かなかったのはおそらく初めてのことだろう。忙しいを言い訳に、外に出るのが億劫になってきている昨今。このコーナーの更新も滞りがちである。今年はもっと頑張ってフィールドに出よう。

 で、その秋名であるが、鳥は少ない。コサギやクサシギ、タシギが散見できる程度である。それでも久々に耳にするアカヒゲのさえずりには心が躍るし、ノゴマの地鳴きを聞けば少数ながらちゃんと越冬していることがわかり嬉しくなる。

 鳥がいないときは港に行く。奄美の港の岸壁にはいろんな海水魚がつくので、それを探すだけでも十分面白いのだ。ハリセンボンやチョウチョウオウの仲間は常連だし、ミノカサゴやオニオコゼなどを見ることもある。たまには落ち葉に擬態したナンヨウツバメウオの幼魚などもいて、飽きないのだ。この日はミヤコテングハギっぽいハギの仲間の小魚とチョウチョウウオの仲間のオニハタタテダイ、名前のわからないキンチャクダイの一種の幼魚を発見。たも網があればすくえる距離で遊泳していた。

 魚を見ていると、そういえばイザリの季節だな、と思い出す。今年あたり、また行ってみるか。

▲岸壁についていたオニハタタテダイ。

1月14日(土) 笠利町大瀬海岸

 何度も書くように今季冬鳥の数が少ないが、それは小鳥類の話で、ガンカモその他の水鳥に関しては必ずしも当てはまらない。今年になってからもマガンやヒシクイの他にもツクシガモやカワアイサが確認されているし、ソリハシセイタカシギもまだいるようだ。おもしろいのはヘラサギだろう。南西諸島では例年冬には世界的な希少種といわれるクロツラヘラサギが数羽確認されるが、どちらかというとヘラサギは少ない。しかしこの冬の奄美大島にはクロツラヘラサギではなく、ヘラサギが1羽渡来しているのである。お隣の徳之島でも1羽のクロツラヘラサギと3羽のヘラサギが行動をともにしているらしい。目の周りが黒くないヘラサギを見ると、ちょっと新鮮な気持ちになる。

▲一本足で休むヘラサギ。

1月28日(土) 宇検村湯湾岳

 天気もよく山歩きにもってこいの日。冬の湯湾岳には注意深く観察すると花がたくさん咲いている。サクラツツジの派手な装いがあるかと思えば、チケイランやヒメフタバランなどの地味で目立たない野生蘭の花もある。ひときわ毒々しいのがユワンツチトリモチ。まるでキノコのようだが、奄美大島固有の寄生植物。

▲キノコのように見える部分は花穂。
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