2006年 6月のフィールドノートから

6月22日(木) 奄美市土盛海岸-同大瀬海岸

 毎年土盛海岸ではアジサシ類が繁殖しているが、ここは海水浴やダイヴィングなどの観光客が多い場所なので、好むと好まざるとにかかわらず人と鳥とが接近遭遇してしまう。去年は久しぶりにベニアジサシが海岸奥の岩礁に寄り付いたものの、繁殖途中で卵を放棄してしまった。ベニアジサシは繁殖放棄をしやすいナーヴァスな鳥であり、このような人との距離が近いコロニーではままこのような事態が起こってしまう。それに比べてコアジサシはずうずうしいところがあり、多少人が近づいても繁殖活動をなかなかやめない傾向があるようだ。去年はここで十数巣のヒナが巣立った。ことしも5月末から繁殖に入り、ぼちぼちヒナが孵るころかなと考えて訪れてみたところ、ひと月前にはうるさいくらいいたコアジサシの親鳥の姿がない。もしかしてという不安は的中。大半の巣が放棄されてしまっていた。コアジサシでも抱卵をあきらめるほど、たびたび人の干渉があったのだろうか。人と鳥との共存の難しさを感じさせられてしまう。

 帰りに隣接する大瀬海岸に立ち寄る。今年はベニアジサシの姿が少ないなと思いながら双眼鏡をのぞいていると、大きめのアジサシが1羽視界を横切った。ハシブトアジサシだ。例年この時期に少数が観察されているので、渡りのルートにかかっているのだろう。さかんに干潟に飛び降りてはカニ(?)を捕食していた。

▲干潟に降りて休むハシブトアジサシ。

6月23日(金) 奄美市金作原

 金作原で作業をしていて落ち葉を掻き分けていたら、ワタセジネズミがいた。生体をまじまじと見たことがなかったので、捕まえると、ジネズミはガブリと指に噛み付いた。向こうも必死なのだろう、噛まれた指を振りまわしてももう片方の手で体を引っ張っても離れやしない。窮鼠猫を噛む、というか窮地鼠人を噛む。軍手をはめていてよかった。

▲この通り、一度噛み付いたらなかなか離してくれなかった。

6月25日(日) 大和村フォレストポリス-宇検村某所

 午前中はフォレストポリスで探鳥会。フォレストポリスは大和村の条例により生き物の採集禁止地域であるが、村役場産業振興課の大町さんのはからいで、観察後リリースすることを条件に昆虫を採集することを認めていただいた。おかげで各種のトンボやチョウ、水生昆虫などを間近で観察することができ、参加者一同普段接することの少ない昆虫の世界にどっぷり浸かることができ満足のようす。いかんせん、鳥のほうは暑さのためさっぱりだったが。

 会終了後、前々から気になっていた場所に行き、目的の植物を探す。時期が少し遅いかなと思ったが、なんとか花期に間に合ったようだ。目的の植物とはウケユリ。請島の名を冠するこのユリは奄美の固有種であり、園芸品種カサブランカの原種でもある。ずい分少なくなっているというが、よかった、ここにはまだかなりの株が残っている。あたり一面に芳香をふりまきながら毅然と咲く大形ユリがいつまでも野生の状態で見られますように。

▲野生のウケユリもずい分少なくなってしまった植物のひとつ。
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