2007年 10月のフィールドノートから

10月13日~14日 徳之島

 14日には奄美野鳥の会の公式行事として徳之島探鳥会が行なわれるので、前日から徳之島入りして標識調査と夜の林道観察を行なう。標識調査のほうはあまりめぼしい成果は上がらず、何種類かの留鳥が捕獲できただけ。しかし、同じ留鳥でも奄美大島産と徳之島産では微妙に形態に差が見られるのかもしれないと思い、各部の計測や写真撮影を行なった。

 夜の林道観察の一番の目当てはオビトカゲモドキ。徳之島以南に生息するクロイワトカゲモドキの徳之島固有亜種である。奄美大島と徳之島では爬虫類相に隔たりがあって、トカゲモドキは徳之島が北限、ホオグロヤモリの自然分布もおそらく徳之島が北限(最近では奄美大島の一部や喜界島でも生息が確認されている)、奄美大島の毒蛇ヒャンは徳之島と沖縄島ではハイという別亜種になる、といった具合である。哺乳類、鳥類、両生類、昆虫類の生息状況では奄美大島に近い徳之島が、なぜ爬虫類だけ沖縄に近いのかが大きな疑問である。さて、オビトカゲモドキは渓流沿いに多いというのでかなり荒れたいくつかの林道を慎重に探して回ったが、今回も見つけることはできず。深夜過ぎに仮眠のために立ち寄った徳之島総合運動公園のトイレの壁にへばりついていたホオグロヤモリをじっくり観察して、溜飲を下げたのだった。

▲四肢の指下板でガラスにしがみつくホオグロヤモリ。この種は尾の棘状突起が特徴。

10月21日 奄美市宇宿漁港

 宇宿漁港には埋め立てたまま放置された砂礫地が放置されており、うまい具合に渡り鳥の休息地になっている。冬場になると毎年ムナグロやムネアカタヒバリが入るのだが、ムナグロの群れ中にオオチドリが1羽混じっているとの連絡を受けて、さっそく行ってみた。夏羽は美しいオオチドリだが、今回の個体は今年生まれの幼羽らしく、背景の砂地と同化していまいち見栄えがしない。ムナグロとともに越冬して、春先に美しい夏の衣装をまとうことを期待。

▲ムナグロよりも明らかに嘴の先端が尖っているオオチドリ。
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