2008年 1月のフィールドノートから

1月5日 奄美市大瀬海岸

 今年最初の鳥見は大瀬海岸で、目当てはソリハシセイタカシギ。一昨年の奄美初記録のアヴォセット同様、前川の河口付近にいて、あまり人を恐れない。同じ個体かというとそうでもなさそうで、前回の個体がさかんに首を左右に振りながら餌を採っていたのに対して、今回の個体は小刻みに頭を上下に振る動作が目立つ。しかしどちらにしろ、この鳥の嘴は極端に細く、しかも大いに反り返っているので餌を捕まえにくそうなのに、それなりに機能しているようだからすごい。

▲こんなかわった形の嘴を持っているのは鳥類界広しと言えどもソリハシセイタカシギだけ。

1月28日 奄美市宇宿・大瀬海岸

 大瀬海岸のソリハシセイタカシギが2羽になったという。沖縄にもかなりの数が渡来しているようなので、今年は当たり年なのかもしれない。干潟にいるのは他にはキョウジョシギ、ハマシギ、トウネン、アオアシシギ、メダイチドリ、シロチドリ、コチドリ、ヒドリガモ、コガモ、カワウなど。遠くをウミネコの幼鳥が1羽飛んでいる。

 しばらくソリハシセイタカシギの行動を観察したあと、宇宿のモクマオウ林に行ってみる。ここはリュウキュウアサギマダラの集団越冬地のひとつであり、冬の寒い日には数十、数百の群れとなって木の枝先などにぶらさがっている。この蝶がなぜ群れるのかいまひとつわかっていないのだが、冬でも気温の高い日にはふわりふわりと一斉に舞って、実に幻想的な光景を織り成す。本日の最高気温は19℃で無風、蝶たちが活動するにはもってこいの日和だ。そのため、何頭ものリュウキュウアサギマダラがランタナの花から吸蜜していた。暖かいとはいえ、動きが鈍く、すぐ近くまで寄っても逃げないので、写真撮り放題である。手づかみで捕獲もできそうである。

 蝶と遊んでいると、モクマオウの木の上部から、ぐぜるような声が聞こえてきた。マヒワが20羽ほどの群れで、一心にモクマオウの実をつついている。そういえば、今季はじめて観るなあ、マヒワ。

▲吸蜜するリュウキュウアサギマダラ。至近距離まで近づいても逃げない。
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