2017年 7月のフィールドノートから

7月2日 徳之島

 福島から来島された虫友のM氏と一緒に水生昆虫を求めて徳之島へ。最大の目的は浅間海岸の満潮時に現れるウミアメンボ類の種を確認すること。5月にきたときにはすべて幼虫だったが、さすがにもう成虫が現れているはずだ。徳之島空港でレンカターを借りて、現地までは車で5分の距離。ウミアメンボ類は満潮時に野鳥観察デッキ「とりとりデッキ」の近くに集結する。着いたのがちょうど満潮前の時間帯で、すでに集結していたが、小潮のせいか数が少ない。それでも何頭か成虫の姿が確認できる。体が白く見えるのでシロウミアメンボか、あるいは沖縄島で見つかったというシオアメンボではないかと期待が膨らむ。どちらも奄美群島初記録となる。幸い小潮なので水かさはたいしたことない。さっそく干潟に下りて採集を試みる。M氏に調べてもらったところ、残念ながら普通種のウミアメンボらしいことがわかった。ただのウミアメンボでもこれだけ白くなるんだね。

 昼食後は犬の門蓋へ行き、観光かたがたアシブトメミズムシを探す。数年前の秋に来たときにはたくさんいたのに、いくら石をひっくり返しても見つからない。夏はどこか別の場所へ移動しているのだろうか。それでも執念で、なんとか1頭だけ発見することができた。タイドプールには色鮮やかなルリスズメダイの姿が。ごく普通の熱帯魚だが、この色を見るたびにドキッとする。そのあとは三京に移動し、秋利神川の上流域でオキナワオオミズスマシとたわむれる。奄美大島ではほとんど見ない本種だが、この沢のよどみには数頭が泳いでいる。捕まえて匂いをかぐと、柑橘系の爽やかな香りがするのが面白い。

 夕方は井之川のリーフに出向き、サンゴアメンボを探す。満潮時はリーフの隙間にじっと隠れ、干潮になると水面を高速で泳ぎ回る不思議な昆虫である。ケシウミアメンボはいたるところにいるが、肝心のサンゴアメンボはいくら探しても気配がない。私が以前観察したのは1月だった。本種ももしかしたら季節があるのかな。

▲ウミアメンボの成虫と幼虫たち。成虫はまだ少なかった。
▲タイドプールの華、ルリスズメダイ。
▲爽やかな匂いを放つオキナワオオミズスマシ。