2017年 12月のフィールドノートから

12月5日 龍郷町秋名

 今年はなぜかナベヅルの飛来が多い。10月に奄美大島、喜界島、沖永良部島でそれぞれ複数個体が確認されている。奄美大島の秋名に飛来していた家族と思われる4羽はすぐにいなくなってしまったのだが、今日また1羽が水田跡でえさを探していた。新たに1羽だけで迷行したのか、10月に奄美群島各地に来ていた個体のうちの1羽なのかは不明。出水では集団のナベヅルを見慣れているので、単独でえさをつんばんでいると孤高に思えてしまう。

▲単独でえさを探すナベヅル。

12月12日 瀬戸内町油井岳

 林床にトクサランが黄色い花をつけていた。冬に咲く野生ランは存外多い。カンラン、ホウサイラン、コゴメキノエラン……。そういえば、先日某所でも地生ランの花を見つけた。見た感じはナギランなのだが、花期は6~7月。アキザキナギランとは違うようだし、もしかしてオオナギラン? オオナギランならば花期はぴったりだが、分布は徳之島以南とされている。わからないので植物の専門家とともに再度同所を訪れ、教えを乞うた。花期は異なるがナギランだろう、とのこと。狂い咲きにもほどがある。

▲黄色い花をつけたトクサラン。
▲狂い咲きのナギラン?

12月23日 奄美市名瀬名瀬勝

 今年最後の探鳥会は古見方の大川河口域で。集合場所の名瀬勝公民館横の公園に早めに到着し、双眼鏡を構えると、ヒカンザクラの前の地面に見慣れない鳥の姿が。なんとウソである。思わず「嘘っ!」と呟いてしまう。奄美でこの鳥を観るのは初めてで、記録自体とても少ない。どうやらオスが1羽だけ。サクラの枝に戻って新芽をついばんだり、口笛のような柔らかい声で鳴いたり。せっかくだから探鳥会の参加者たちに見せてあげたいと思っていたのだが、気まぐれなウソは人が集まる前にどこかへ飛び去ってしまった。かわって登場したのは、ジョウビタキのオス。こいつは人をあまりおそれる風情がない。探鳥会の参加者たちにもきちんと愛想を振りまいてくれた。

▲ヒカンザクラの新芽をついばむウソのオス。
▲同じくヒカンザクラの枝にやってきたジョウビタキのオス。
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