第25回オオトラツグミ一斉調査について

~奄美中央林道で79羽、全域では313羽確認~

 奄美野鳥の会が中心となり、1994年から始め、島内外の多くのボランティア調査員の方々のご協力のもと進めてきたオオトラツグミ一斉調査は、今年で25回目(25年目)となりました。昨年に引き続き、奄美中央林道を中心とした一斉調査と、これまでの主要林道と北部地域を一部加えた補足調査をおこないました。なお補足調査は、今年も主要な林道に限り実施することで、可能な限り調査精度を上げることに努めました。また、今後生息域が拡大する可能性も考えられるため、龍郷町北部の市理原地区のほか、笠利町の喜瀬地区や用安地区、さらに北に位置する鍋比林道でも調査を実施しました。今後渡来が期待される加計呂麻島の一部でも実施しました。

 今年のオオトラツグミ一斉調査は3月18日(日)に奄美中央林道全域やスタルマタ林道、住用ダム線、油井岳林道道などで実施しました。一斉調査の一日だけで150名の方々の参加をいただきました。この18日の一斉調査の結果、オオトラツグミのさえずり個体数は124羽(うち中央林道は79羽)を確認することができました。
 今年の一斉調査と補足調査(ICレコーダーにより調査を含む)を合わせたさえずり個体の総数は、昨年の245羽(調査地点数212)より多い、313羽(調査地点数210)を記録しました。今年は調査地点が昨年よりも2地点減りましたが、確認個体総数は昨年より68羽多くなりました。

 長年の継続調査で増加傾向が明らかになるなか、昨年は一斉調査時に雨が降ったことなどもあって、一昨年に比べ101羽も減少となりましたが、今年は昨年より68羽増えて、確認個体数が回復しました。また、一昨年初めて2羽の、昨年は3羽のさえずりが確認された市理原では、今年は1羽が確認されました。さらに北の調査地点では、まだ確認されませんでした。

 今年も、多くのみなさま方のご協力とご理解があって、無事に調査を終えることができました。ボランティア調査員として調査に参加されたみなさま、ご支援をいただきました行政や諸団体および個人の方々、調査資金にご寄付いただいたみなさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。ご支援、ご協力ありがとうございました。

特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会

●2018年(第25回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地   210箇所
確認羽数  313羽
調査員   323人(延べ人数)

●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移
奄美中央林道その他合 計
199024羽1羽25羽
199440羽14羽54羽
199518羽14羽32羽
199618羽11羽29羽
199727羽14羽41羽
199821羽17羽38羽
1999 調査方法変更28羽72羽
44羽
200025羽36羽61羽
200140羽34羽74羽
200240羽37羽77羽
200343羽61羽104羽
200442羽84羽126羽
200568羽103羽171羽
200647羽118羽165羽
200778羽171羽249羽
200847羽180羽227羽
200951羽225羽276羽
201032羽262羽294羽
201145羽288羽333羽
201259羽 296羽 355羽 
201396羽 426羽522羽 
201485羽調査方法変更 
215羽300羽 
201573羽241羽314羽
2016106羽 230羽346羽
201754羽191羽245羽
201879羽 234羽313羽
「奄美中央林道」は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスによる調査。
1998年までは数日かけて調査をおこなったが、1999年以降は同日に一度で調査を行っている。
「その他」は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。2014年以降、奄美中央林道と一部の林道のみにしぼって調査。
*表は、Strix vol.15.1997「.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会」に1997年以降の結果を加えて作成。

 奄美中央林道での調査では、昨年より25羽多い79羽の記録となった。昨年は雨の中の調査で、鳴き声が聞き取りづらかったことなどもあって、54羽と少なかったが、今年は天候に恵まれたなかでの調査で、さえずり個体数は79羽と確認数が回復した結果となった。全調査地域でも、昨年より調査地点が2地点少なかったにもかかわらず、全体の確認数は昨年より68羽多い313個体となった。また、昨年3羽のさえずりが記録された市理原地区で、今年は1個体が確認された。さらに北に位置する喜瀬・用安地区や鍋比林道では、これまでのところさえずり個体は確認されていない。