2020年 7月のフィールドノートから

7月13日 奄美市蒲生崎

 ここ数年、奄美大島でフタオチョウが爆発的に増えている。沖縄からの人為的導入という説が有力だが、そうだとすると国内外来種ということになる。沖縄県では天然記念物に指定されているが、奄美ではいまのところなんの規制もない。そのため、このチョウを採集することを目的に、多くのコレクターたちが奄美にやってきている。どうしたものか。問題は採集者だけではない。フタオチョウの好む食草はヤエヤマネコノチチだが、奄美ではそれほどたくさん生えていないので、食草としてクワノハエノキを利用しているようだ。クワノハエノキといえば、奄美ではアカボシゴマダラの食草なので、餌資源をめぐって両種の間で競合が起こる可能性がある。最近アカボシゴマダラが減ったような気がするのは、気のせいだろうか。

 さて、蒲生崎で樹冠に止まったフタオチョウを撮影していると、見慣れない大型猛禽がふと現れた。ミサゴとは違うし、とよく見ると、ハチクマだった。こんな時期にこんなところでなにをしているのか。完全に迷ってしまった個体なのだろう。

 夏になり、オオジョロウグモが増えた。蒲生崎の展望台に向かう遊歩道沿いはオオジョロウグモの密度が特に高い。それだけ昆虫が豊富ということか。黄色に黒いストライプの入った普通のタイプ以外にも、全身が黒い個体や褐色の個体もいて、大きさもさまざま。さながらオオジョロウグモの品評会のような具合。

▲突然現れたハチクマ。
▲褐色タイプのオオジョロウグモ。

7月27日 奄美市朝仁

 自宅の近所を散歩していると、夏羽のカンムリカイツブリを発見。7月8日に隣町の川で見つかって新聞ネタになっていたが、おそらく同じ個体なのだろう。一見したところではわからないが、翼でもけがしているのかもしれない。水位が高いときに川を遡上し、いつのまにか水位が下がったのか、砂利に腹をこすりながら、足を使って移動している。近づくと二足歩行にはなったが、飛ばないので、やはりけがしているのか。保護すべきかどうか、ちょっと経過を観察しよう。

▲場違いな場所に現れたカンムリカイツブリ。
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